『武器としての世論調査 社会をとらえ、未来を変える』読了。
三春充希さんの『武器としての世論調査 社会をとらえ、未来を変える』(ちくま新書)を発売日に購入して読みました。予想に違わない出来映え。
世論調査の基本から過去に行われた世論調査を元に地図やグラフを使い、さまざま角度からこれまで気づかなかったことを浮き彫りにしてくれる。
選挙ブーストや第一党効果、世論調査の質問文や選択肢によるバイアス、地域による傾向の違いなど、多くの調査結果をもとに解説してくれており、なるほどと唸ること多々。
本書の中ほどから世論調査をもとに日本の歴史を見直す流れになっているのも大変おもしろく、第三次ベビーブームが起きなかった原因は政治だったという指摘や、投票率の崩壊と無党派層の拡大の分析も興味深い。
「日本の社会に大きな影響を与えた出来事」が世代によってこれほど違うことに驚きました。本書では指摘がなかったが、中高年以上に東京オリンピックを選ぶ者が多かったのは印象的でした。これだけ違えば政治に対する考え方、味方が違うのも当然であろう。
八章ではゲリマンダーなど選挙制度について触れている。私は、「民主主義には問題が多々あるが、当面マシな選択肢」という考え方を支持しており、民主主義の問題のひとつは「選挙結果は選挙方法によって大きく左右される」だと思っている(詳細 https://matome.naver.jp/odai/2133407380844081001/2133407412644089003)。なので、「選挙制度が政党のあり方や議員の質を変える」という意見は全く同感。
九章の選挙の際の「優勢」「ややリード」情勢報道についての各報道機関ごとの整理、比較も目からウロコだった。
2006年以降イギリスのエコノミスト誌の研究所EIUが民主主義指数を発表しているが、毎年世界全体の民主主義は後退している。日本も例外ではない( https://hbol.jp/190613 )。この続編として、こうしたレポートと我が国の状況を照らし合わせるとか、昨今のネット世論操作が選挙に与えている影響(多くの国で深刻な問題として対処、日本はなぜかなにもせず)の整理とかいろいろネタはつきなさそうで、作者の三春充希さんの今後の活動が楽しみである。
思いつきメモ ネット世論操作では選挙の何年も前から準備を開始し、選挙に向かって順次手を打って行くわけですが、これって選挙ブーストに合わせているのか、それとも選挙ブーストを作り出しているのか、どっちなのだろう?
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