「見ていない夢」の物語 『言罠(ことな)』の書評小説
昔書いた『
https://scraiv.com/n/1553370429645
この小説はちょっと変わっているので、自分で自分の作品をネタにするのもおかしな話ですが、これを元に書評小説を書いてみます。
『言罠』の書評小説 『「見ていない夢」の物語』
この世でもっともカッコいい自殺の方法は勢いよく振り返ることだ、真後ろに。頸椎が折れて、首がねじ切れる。そんなことがわるわけないと思うだろう。誰もやったことがないからカッコいいのだ。
2014年に女の子に振られてから死ぬことばかり考えているが、これは間違っていない。なぜなら人間は必ず死ぬ。計画的に物事を進めるのはよいことだ。ならば死に方を考えるのは正しいことだ。
そんな時、ふと思いついてネットに『言罠』という昔の小説をアップした。
特にこれといった反応もない。読んでいる人間もそんなに多いわけではないから当然かもしれない。この小説は「見ていない夢」の話だ。「見ていない夢」というのは文字通り、まだ見ていないし、これからも見ることがないかもしれない夢で、でももしかたら見るかもしれないと思った夢のことだ。
それはただの空想、妄想、創作と言われるかもしれないが、そういったものと夢の間には明確な違いがある。
夢は基本的に忘れるものだし、覚えていてもおそらく本当に見た夢と同一ではない。歪められている。空想、妄想、創作はその場で記録できるから、同一のものを再起することが可能だ。
再現可能ということはある意味、科学的であり、夢は再現可能でないから神話的だ。
だから私は『言罠』をアップしようと思うまで内容を完全に忘れていた。パソコンの中で『言罠』という文字を見つけた時、最初はなにかわからなかったくらいだ。いや正確にいうと今でも自分が書いた記憶がない。お恥ずかしい話だが、読んでも次になにが書いてあるか全く見当がつかなかった。自分で書いて自分でまっさらな状態で読んで楽しめるなんてエコで素敵だ。
ここまで書いて本当に自分が書いたのか不安になってきた。しかし私のパソコンの中にあったのだから、私が書いたと思うのが妥当だろう。不安がつきないのは私が創作者であるせいだ。創作する人間は常に不安に怯えている。
なにが言いたいかというと、『言罠』は「見ていない夢」だが、夢である以上、再現不可能性である。したがって2回読めば、2回目は違う物語になっているはずである。私が覚えていないのも当たり前だ。毎回違う内容なのだら。
もし、全く同じ物語を読んだとすれば、あなたは夢を見ている。現実を生きていないのである。
さて、今日も『言罠』を読むとしよう。
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