第101話 師弟対決!ブレイブvsルナシオン
突然の魔王軍幹部の襲来により、フェインの試練は中断された。その力は凄まじく、あらゆる魔法を扱うルナシオンを相手にブレイブが挑む。
ルナシオン「いつでもいいよ、かかっておいで」
ブレイブ「(先生は油断してる……倒すなら速攻で決めるしかない)」
あくびをしながら空中で胡座をかいているルナシオンは、誰が見ても隙だらけだ。ブレイブはルナシオンが自分から視線を晒した瞬間、一気に間合いを詰めた。
閃光の如き速さで目の前にまで迫ったブレイブの剣が、ルナシオンの喉を貫く。
ブレイブ「すみません先生……こうするしかあなたを止める方法が思いつかなかった」
ルナシオン「クックックッ……まだまだ甘いねぇ」
ルナシオンの体は霧の様に霞んでいき姿を消した。どうやら今倒したのは分身だったようだ。
ルナシオン「僕がこの程度でやられる訳ないだろ?」
指を振りながら再び姿を現すルナシオン。今目の前にいるのも本物かどうか怪しい。
ブレイブ「……流石に簡単すぎたと思いましたよ」
ルナシオン「それじゃあ僕もちょっと遊ぼうかな」
気だるそうにルナシオンは両手に魔力を集め始めた。やがて魔力は小さな球体となり、ルナシオンの手の中で高速で回転している。
ラッシュ「一体何なんだ……あの不気味な魔力の塊は」
ルナシオン「気を付けなよー!この
フェイン「即死!?そんなのありかよ……」
ルナシオン「ハッハッハッ!いい反応だよ君達」
ルナシオンの高笑いがこだまする。自分の強さに圧倒的な自信がある者の笑いだった。
そして、無慈悲にも即死魔法デスライフは地面に這いつくばっているフェインとラッシュに向かって放たれた。
ブレイブは咄嗟に二人の前に立ち、魔法を剣で弾いた。しかし、その衝撃で剣の刃は泥々に溶けてしまった。
ラッシュ「す、すみません……助かりました」
ブレイブ「良かった、二人とも無事だね。剣はこの通り溶けちゃったけど……」
フェイン「それなら俺の剣を使ってください」
ブレイブ「ありがとうフェイン。ラッシュ、君の剣も借りるよ?」
ラッシュ「ええ、構いませんよ。だけど剣を二本同時に扱うのは難しいのでは?」
ブレイブ「フフ、まあ見てなさい」
二人から剣を借りたブレイブは両方の手に剣を持つと構えた。
ルナシオン「何の真似かな?君は二刀流の技は使えないはずだろう」
ブレイブ「さて、それはどうですかね」
ブレイブは素早く剣を素振りし、連続で空を斬り裂いた。すると、輝く斬撃が刃から放たれルナシオンへ次々に襲いかかる。
しかし、ルナシオンは難無くそれを避けた。瞬間移動の魔法が使えたのだ。半径数メートル限定という縛りがあるものの、連続で使用できるため斬撃は当たらない。
ルナシオン「フハハハハハ!そんな攻撃が僕に当たるとでも?」
ブレイブ「それなら特大のをお見舞いしてやる!」
ブレイブは魔力を刀身に集中させると、剣を交差しながら力強く薙ぎ払った。ブレイブの宣言した通り、特大の斬撃がルナシオンに飛んでいく。
流石のルナシオンも、瞬間移動で回避できる範囲を超えていたのか驚いた様子だった。
ルナシオン「へー、やるね。避けるのは無理そうだ」
フェイン「すげぇ……あの特大斬撃を喰らえばあいつもタダじゃ済まないはずだ」
ラッシュ「勝てるぞ……この勝負」
ルナシオン「僕を誰だと思ってるのさ!避けるのが無理でも、防ぐ事くらい造作もないんだよ!」
ルナシオンが素早く呪文を唱えると、彼の周囲を魔力の球体が覆った。そして、ブレイブの放った渾身の一撃は、球体と衝突し爆発した。
爆発の衝撃で発生した砂埃に隠れてルナシオンの姿が見えなくなった。次第に砂埃は薄くなり、やがて完全に晴れた。
ルナシオンは無傷だった。彼の周りに張られている球体状の魔力が攻撃を防いだのだ。
ルナシオン「ジャーンッ!!僕はダメージを受けていないよー!」
フェイン「一体何が起こったんだ…?」
ラッシュ「バリアだ……奴は斬撃に当たる直前にバリアを張ったんだ。そんじょそこらの魔導士とは比べ物にならないくらい強力なバリアをな」
ルナシオン「その通り、このバリアの前では並の攻撃じゃ……ってアルマはどこだい?」
ルナシオンは辺りを見渡すがブレイブの姿が確認できない。すると、不意に影がルナシオンを覆った。
そこにはブレイブが二本の剣を構えて飛んでいた。そして一気に急降下し、高速で回転しながらバリアに二本の剣を突き立てた。
ルナシオン「なるほど、さっきの攻撃は僕の注意を逸らすためのものだったのか……」
感心しているルナシオンの真上でブレイブはバリアを破ろうと頑張っている。その甲斐あってついにバリアに僅かばかり亀裂が入った。
だが、その瞬間バリアを解いたルナシオンは真上にいたブレイブに向けてデスライフを放った。突然の反撃に一瞬反応が遅れたブレイブは咄嗟に体を大きく捻った。
間一髪デスライフを回避したブレイブだったが、追撃の魔法攻撃が次々に飛んでくる。炎に氷に雷、あらゆる属性の攻撃をぶつけられ力なく地面に落下するブレイブ。
ルナシオン「どうやらこれ以上戦うのは無理そうだね」
フェイン「ふざけんなッ!あんたブレイブさんの師匠なんだろ?いい加減目ェ覚ませよ!!」
ラッシュ「俺が相手してやるからブレイブさんから離れろ」
ルナシオン「威勢がいいねえ、だけど地面に這いつくばってただ見る事しか出来ない君達に何が出来るんだい?」
ブレイブ「(二人共…挑発しちゃダメだ…この人は強すぎる……ダメだ、声も出せない……)」
ルナシオンは倒れているブレイブの元へ歩み寄った。そして、とどめを刺そうと右手に魔力を圧縮させた。
ルナシオン「勇者の最後ってのも意外と呆気ないものだねアルマ。そう悲観的にならないで、一瞬で終わるからさ」
フェイン「やめろ……やめろって言ってんのが聞こえねえのかッ!」
ルナシオン「あー、君達もすぐに殺るから大人しくしててよ」
ラッシュ「くッ……万事休すか」
ルナシオンは圧縮した魔力をなんの躊躇いもなくブレイブに向けて解き放った。辺りは強い光に包まれ、爆音と共にブレイブの倒れていた地面が数キロ先まで大きく抉れたのだった。
ルナシオン「ふぅ……思ったより魔力を使ってしまった。後はあの二人を……ん?赤い髪の奴が居ない、どこにいった?」
ラッシュ「へへ……さあな、俺はあいつの保護者じゃねえんでな」
ルナシオン「チッ……どうやってあの重力から抜け出したか知らないが、君は見捨てられたんだろう?薄情な仲間を持ったなぁ?」
ルナシオンがラッシュに近づこうと一歩踏み出した瞬間、背後にとてつもなく強い気配を感じた。恐る恐る振り向くと、そこにはフェインがブレイブを背負って立っていた。
しかし、その姿は黄金のオーラに包まれておりさっきまでとはまるで別人のようだった。
フェイン「ルナシオン、俺は誰も見捨てない……そして、ブレイブさんに代わって俺がお前を倒すッ!!!」
突如、謎の力を発揮しブレイブを救出したフェイン。これが真の勇者の力なのだろうか、そして魔に堕ちたルナシオンを倒す事ができるのだろうか……………………………………
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