第31話 復興

デスタ達の活躍によって古代兵器ギガント・ギアは破壊された。しかし事件の主犯であるカンパニーの社長レギオンは、キングとクイーンと名乗る二人組に殺されてしまうのであった。

翌日、デスタはテントの中で目が覚めた。フェインが椅子に座って眠っている。一晩中自分の側にいたのだろうか。他の者は見当たらない。



デスタ「フェイン……おい起きろ!ギガント・ギアはどうなった?」


フェイン「ん?ふわぁ……ちゃんと破壊されたよ、お前のお陰でな」


デスタ「そうか……ここはどこだ?」


フェイン「ギガント・ギアが暴れたせいで、今はどの建物もボロボロなんだぜ。だからみんな避難所のテントの中にいるしかない」



しばらくして、ピノとグロックが食べ物を持ってテントの中にやって来た。



ピノ「やっぱり姉御は凄えな、あのデカブツを倒しちゃうんだからな」


グロック「うむ、硬いコアをギガント・ギア自身のエネルギーで倒そうとは普通思うまい」


デスタ「ルプラスがいなかったら、多分死んでいた」


ピノ「そういえば、ルプラス達が図書館で待ってるって言ってたぞ」


フェイン「そうと決まれば早速図書館へ行こうぜ」



三人はグロック爺さんと別れ、ギアノア図書館に向かった。図書館に向かう途中、ギガント・ギアに破壊された建物が沢山あったが、皆力を合わせて建物を修理しているのが見えた。


ギアノア図書館.館長室……


館長室に入ると、ルプラスとリン、そしてトリーヴァが三人を待っていた。



フェイン「あんたは!今までどこ行ってたんだ?」


ピノ「こっちは大変だったんだぞ!」


トリーヴァ「本当に申し訳ない、昨日は用事があってギアノアから離れてたんだ」


デスタ「そんな事より、ここに呼んだ理由は?」


ルプラス「そうそう……その事なんだけど、リンちゃん持って来て」



リンは三つの銀のブローチを持って来た。ブローチには勇者協会のマークが彫られている。



フェイン「もしかして、俺たちに?」


リン「そうです、今回の活躍が協会に認められて、三人をシルバーランクに昇格するそうです」


ピノ「よっしゃー!ランクアップだー!……でも街一つ救ってシルバーランクって物足りなくない?」


リン「仕方ないですよ、今回は勇者協会の依頼という訳ではないので。ランクアップしただけ有り難く思ってください」



三人は自分の持っているブロンズブローチと新しいシルバーブローチを交換した。新品ということもあってキラキラ輝いている。やっと一人前の冒険者という感じだ。



トリーヴァ「私からはコレを…」



トリーヴァは懐から一枚の紙をデスタに渡した。



デスタ「これは?」


トリーヴァ「最近魔物の被害が相次いで起きてるミストという町の行き方だよ。何でも街の近くにある廃城から魔物達がやって来ると報告があるんだ」


フェイン「その話と魔界へ行くのにどんな関係があるんだよ?」


トリーヴァ「ラミア大陸にはクロウが居るからね。彼女なら魔界について何か知っていると思うよ」


ピノ「クロウ?」


トリーヴァ「ああ、彼女は私やルプラスと同じ六勇者なんだ……ちょっと変わってるけど、きっと君達の力になってくれるはずさ」


フェイン「六勇者か…よしッ!行ってみようぜ!」


ピノ「うーん、大丈夫かなぁ」


フェイン「他にあては無いし行ってみるしかないだろう、デスタはどう思う?」


デスタ「…分かった、行こうミストへ」



渡された紙によるとミストはこことは別の大陸、ラミア大陸にあるらしい。三人はルプラス達と別れると、機械都市ギアノアを後にした。ラミア大陸のミストで待っているクロウとはどんな人物なのだろうか。




とある雪山の山頂……


男は、自分の三倍は大きいツノの生えた魔物を、斧で一刀両断していた。



ダリオ「付き合わせて悪かったなぁ」


ミトラ「いえ、気にしないでください。私が勝手について来ただけですから」



ダリオとミトラは、討伐会議で依頼されていたモンスターを倒しに、とある雪山に来ていた。



ダリオ「さて、依頼は達成したし帰るか」



二人が山を下りようと歩き始めると、背後から何者かが拍手をしている。背後に居る者は何かとてつもなく嫌な雰囲気を醸し出していた。二人は慎重に振り向いた。



ダリオ「てめえ……何もんだ?」



あまりの殺気にダリオも思わず唾を飲み込む。山頂という事もあり、吹雪が吹き荒れ辺りが白一色に染まる。そんな中、辺りに声が響いて来た。





「我は……魔王」




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