第5話 クロエの魔力の枯渇



翌朝、採点の日、学園でシロエがクロエの元に滅多に出ない精霊が暴走しているので手伝ってくれとの依頼があったらしい、今しがた、妖精の配下から連絡が入った。


「不味いわね!今クロエに動かれると、精霊の暴走だなんて、もうクロエには魔力はそれ程残ってないはず」


ブルーローズはおおとりに相談していた。生徒たちを不安にさせない為。


「まいったね!クロエ校長には留まってもわらないと、このデザートと紅茶はクロエ校長の為でもあるのに‼︎」


そう、クロエはシロエとの戦いで相当な魔力を消費して、ほぼ空の状態学園では魔力制限されて回復の見込みはない。


「話は聞かせてもらった。俺が行こう、精霊を鎮めるのは慣れている。」


楓月そうげつはまだ採点が始まる前に陽月や莉土りとたちより早く起きてブルーローズのいる部屋まで来ていた。


「レシピを届けるついでに俺が先に学園に行ってくる。俺には元精霊女王様が加勢してくれるから、心配ない」

楓月そうげつは粛々と身支度を始める。


「確かにお前なら、精霊に対応できるが滅多に出ない精霊だから4人で行った方が良いと思うがね。」


おおとり先生は楓月を《そうげつ》を諭す。


話を聞かないでドアを開けて出て行こうとすると、目の前に樹が腕を組み少し苛ついていた。


楓月そうげつ、帰りが遅いと思ったら1人で行くきか?確かにお前は強い、だけど、まずは俺たちに頼れよ」


「樹、お前聞いていたのかおおとり先生との話を俺が特別の力を持っていることを。」


不味い、元精霊女王の存在は伏せておかないと契約違反になってしまう。


「いや?1人で学園に行くとしか聞いていないが?確かに妖精二体持ちは珍しいと思うけど。」


楓月はドアの奥にいるブルーローズを見ると人差し指を口元に持って行きポーズを取る。

気を利かせてブルーローズがノイズで聴き取りにくくしてくれたようだ。

「私が行けたら良かったのだが、生憎ブルーローズとの重要な会議があってうごけない、君たちだけでどうにかして欲しい」


ブルーローズとおおとりはここの結界を張るとても重要な任務があるようだった。


「そうだ、クロエ校長からこの本を預かっていた、樹くんきみにだそうだ。」


本にはカタカナでカイドクについてと書かれている、どうやら、樹の属性にぴったりの本で毒に関しての雑学が色濃く書かれていた。


「樹、この本は魔術書でな魔力の補充し使うことができるいざと言う時に使用する様に」


解毒の書は精霊や妖精に溜まった毒素を回復させる事ができる、しかし使い方を間違えた場合は毒を精霊や妖精に与えてより凶暴化する恐れがある。

「わかりました、おおとり先生俺たち2人で凶暴化した精霊を止めに行きます」


すると、莉土りとが樹の行動に気付き陽月を連れてやって来た。


「……やっぱりね!!昨日から樹の様子がおかしかったから、こっそり部屋を見に行ったけどいなかったから陽月を連れて来て正解だったわ。」


莉土りとは腕を組みイライラした顔を樹に向ける。

「……なんだよ莉土りと陽月まで連れてきて、危ないから俺ら二人で行くから来るな!」


「なによ!樹のくせに!!来るなですって、妖精なら二人で十分だと思うけど精霊の暴走してる状態だと二人居ようが4人居ようが関係ないでしょ?」


莉土りとが言うのも解からないでわないが、樹が言いたいのはそういう事ではない。樹は自分の額にてを当てて理解に苦しむ


莉土りとちゃん違うよ私たちに危険がないように残ってほしいんだよ樹くんは…」


陽月がフォローしてくれた、お陰で莉土りとは理解した、しかし、これでは納得いかない。

「では!オホンあまり良くないのですが1度だけ精霊のですがを弾く護符を渡しましょう私の土属性をたぷっり込めてあります4人分ありますので使ってください。」


おおとりは自分の魔力をほぼ込めて作り上げた護符を莉土りとに渡した。


「これで文句はないでしょ!!樹、私たちも行くからね。」

莉土りとは少し誇らしげに威張る


「やれやれ!あまり時間がないので楓月そうげつをリーダーとして学園に戻ろう」

樹は楓月そうげつをリーダーにして4人で学園に戻る。


その頃クロエはシロエの要請で教会に来ていた。

シロエの話だと台風が意志を持ち精霊化したとのことだった。


偶然、自然界から微力な魔力が漏れだして意識を持つ精霊が発生する、魔力を持たない人間にはただの台風にしか見えないが魔力を持つ魔女達はハッキリと見えてしまう。


「シロエ、解っていると思うがわしは魔力が殆ど残っていない」


教会でシロエとクロエが話している、ボソリとまだ奴は寝ているのか?と他の信徒に聞かれないように話す。


「まだ!寝ているアレを使うかはクロエおまえ次第だ。」


アレとはクロエの魔力を溜めている装置これを使うと全盛期の魔力を一時的に取り戻し使いきると死に至る。


「しかしアレは奴に使う!とっておき樹が戻って来れば勝機はあるのだが」


樹の持つカイドクの書は特殊な魔導書でクロエが使っても一部分しか使用できず恐らく、クロエの読みが正しければ解読の書のはずだ。


「樹が魔導書の使い方を誤った扱いをしなければ良いのじゃが!」


奴とは全知全能の書のことで、今は深い眠りについている、クロエにはまだ秘策が残っているがまだ使う時期ではない。


「クロエ、まだワシが全知全能の書を抑えているうちは良いが魔力の補助をおこたるんじゃないぞ!」


本当にシロエは必要悪を演じているだけであり、味方なのだが全知全能の書のせいで、きな臭いイメージがついてしまう。


クロエは妖精の住む森をぼんやりと眺める。


「シロエ様、準備が整いました。癒し術部隊いつでも出発できます!!」


学園から教会に移った元生徒達が報告に来る。


「ふん!シロエの奴やはり口先だけで素直ではないのう。」


「クロエ様、そう言わず!我々はシロエ様に良くしてもらってますので。」


教会の出発をシロエに伝えに来るがシロエは恥ずかしいのか、急かすように元生徒達を先に出発させた。


「ほらほら!お前たち今回の術を掛けるのは台風が精霊化した厄介な奴だから油断するんじゃないぞ」

魔力の結界を張っている学園に精霊は向かって行っているようだ。


どうやら、魔力が濃ゆい場所を好む性質のようでゆっくりと学園の方角に進んでいく。


「こう言う事があろうかと転送術を学園に仕掛けておいてある」


そういうと、クロエは変わった雷マークのペンを取り出して、一瞬で杖にする。


「ほっ!」床に杖をトンと付くと術が発動し、五芒星の魔法陣が現れた。


「ほれ!お前たちも来い学園へ結界術を張るのを手伝っておくれ。」


そういうと、クロエは学園の外に結界術を張り元生徒達に自分の結界を張るのを見せ真似をさせる。


「シロエ、わしは魔力が今ので最後じゃ後は陽月たちが戻らないと何もできん後は頼んだぞ」


クロエは校長室に戻りソファに倒れ込み、深い眠りに付く

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