2 第一部 ……愛は私のことを、ちゃんと救ってくれますか?
第一部
西暦××××年。砂漠。
8月14日。昼(少し過ぎ)。
……愛は私のことを、ちゃんと救ってくれますか?
季節は夏。真夏の太陽が照りつける名もない砂漠の緑色のオアシスの中。
からからと氷の転がる音がする。見るとわたあめがストローでグラスの中の氷をくるくるとかき回していた。
「暑いね、こまちゃん」三つ星わたあめがとても強い光を放っている真夏の太陽を見つめながらそういった。
「砂漠にいるんだから、当たり前ですよ、姉さん」丸いテールを挟んで、わたあめと反対側に座っていた三つ星みずあめが言う。
わたあめはオレンジジュースを、みずあめはブルーハワイを、それぞれ透明なグラスに入れてストローで飲んでいた。
木登こまはそんな二人の様子を青色の空を見上げながら、時折うかがっていた。
近くには砂漠特有の少し変わった形をした緑色の植物と地下水の作り出す小さな泉、つまりオアシスがあり、そこには大きな気球と、そして大型の生活用テントが張られている。風はない。それ以外はすべてが砂。
そんな世界一巨大な砂漠の上にカラフルな海水浴用のパラソルをさして、三人はのんびりとくつろぎながら会話をしていた。
わたあめとみずあめの、それぞれ緑色と青色の瞳の中には、よく見ると、その中に不思議な文様が見える。(それは二人が、コンタクトレンズ型のコンピューターデバイスを装着している証拠だった)
二人の容姿は髪型とメガネ(わたあめがかけている)以外、酷似している。二人は双子の姉妹だった。
ここは木登砂漠発掘隊キャンプ。
その仕事の合間の休日に当たる午後の一時。
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