幽霊 ホロウ(旧)
雨世界
1 ジラとUFO 愛は病である。
幽霊 ホロウ
プロローグ
イメージシンボル 花
SOS
愛は病である。
花をあげる
春になったら、あなたにあげる。
だからお願い。
お願いだから、……もう、泣かないで。
花が咲く。君が生まれる。
君が泣く。君が笑う。
君が言葉を覚える。
君が自分の名前を言う。
君が私の名前を呼ぶ。
……大きな声で。
とっても幸せそうな、元気いっぱいの声で。
ある砂漠にある、地方に残る古い言い伝え
子供の目を通して世界を見ること。
子供の耳を借りて風の音を聞くこと。
子供の口を自由にして真実を語ること。
そして、子供の心を思い出して、……をすること。(一番、大切な場所は、文字がかすれて読むことはできなかった)
本編
1 ジラとUFO
……愛は、世界を救いますか?
嵐の夜
人の意識は青白い電気によって、生み出されている。(あるいは、電気ショックによるお仕置き)
磁気嵐の中を一機のUFOが飛んでいる。
『限界です、ジラ』
「まだもたせて!」
ジラと呼ばれた少女が叫んだ。
『だから私はこの作戦には反対をしたんです』
「今更、遅い! 文句言わない!」
ジラは言う。
『ジラ。限界です。このままだと、あと数分で砂漠の上に墜落します』機械的な音声が流れる。
UFOの中にいるのはジラ一人。
ジラの会話の相手をしているのは、コンピューター。いわゆる、この最先端の技術で秘密裏に製造された小型宇宙船に搭載された『みちびき』という名前の人工知能だった。
「……みちびき。目的地は?」
『すぐそこです。ですが、現在強力な嵐の中にいるため、正確な場所は把握することができません』みちびきが言う。
「でも、『この下』であることは間違いないんだよね」にやっと笑いながらジラが言った。
『……ジラ。その考えには賛同できません』
ジラとコンビを組んで長いパートナーであるみちびきは、この会話だけでジラの考えている無謀は作戦? を理解して言った。
「みちびき。突っ込むよ。場所は、この嵐の空の下の砂漠地帯。少しくらい目的の場所を外したって、そのままばらばらになるってことは、ないでしょ?」
みちびきは数秒沈黙する。
なんとなくジラの頭の中にはみちびきの『……、はぁー』という呆れたため息の声が聞こえたような気がした。
『わかりました。ジラ。あなたの言う通りにします』
みちびきが言う。
「OK。聞きわけがいいね」ジラが言う。
『私はジラ。あなたのパートナーですから』
なんだか少し嬉しそうな声で、みちびきが言った。
そしてUFOは、その飛行角度を真下に向けて、加速をして、大雨と大風と大きな雷の鳴る暗い嵐の中を突き進んで、そのまま真下にある無限の広さをほこる巨大な砂漠の地面の上に、思いっきり(まるで、そこにある壁を破壊するように、なんの迷いもなく突っ込むようにして)墜落した。
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