非常招集_1

 遊園地で別行動していたアリサ達も無事に合流し、フレンズ達も連れてラボの会議室へとやってきた。

他の部隊の隊員も、皆普段着のまま集まっている。

サーバル達のように、おしゃれな服に着替えているフレンズも見受けられ、最初のブリーフィングとは全く違う印象だ。それだけの緊急事態ということでもあるのだが。


 しばらくすると、壇上にラッキービーストが現れ、壮年の男性をホログラムのように投影した。あれが総司令だ。


《諸君、よく集まってくれた。時間がないので手短に状況を説明させてもらう》

《もう見た者も多いと思うが、先日作戦を行った島の火山から、大量のセルリウムが放出されている。あの火山の内部で休眠状態になっていた超大型セルリアンが活性化したのだ。我々はこれに対応しなければならない。爆撃機での攻撃は既に失敗した。我々が戦わなければならない》


 横から、8人のフレンズが歩いてきた。

真っ赤な鳥のフレンズにホワイトタイガーに似たフレンズ、頭に黒い亀の甲羅のようなものを乗せた白髪のフレンズと、青いツインテールと龍の尻尾が特徴的なフレンズが並び、その後ろに赤と青の、水着のような露出度の高い2人のフレンズと、真っ白なキツネのと思われるフレンズ、左目が妖しく真っ赤に光る、黒い鳥のフレンズが続く。


《今回は彼女ら、守護けもの達の力を借りる。特に、諸君らのはこちらの四神、スザク、ビャッコ、ゲンブ、セイリュウと共に作戦を行ってもらうことになった》

《前回の作戦でセルリアンの数が減っている思われるため、同じルートで島の中央に向かい、四神が火山内部のセルリアンを封印する。諸君らの任務は四神の護衛だ。四神は全ての力を封印に使うため、道中の障害は隊員とフレンズで排除してもらう》

《そしてシーサーの2人とオイナリサマ、ヤタガラスには島に結界を張ってもらい、島外への被害を抑えるのだ》


 守護けもの…以前資料で、パークを守る特別な力を持つフレンズだと記載されていた。この目で見るどころか、共に戦うことになるとは。


《今回の作戦は非常に大きな危険が伴う。ラボによると、強力なセルリアンが多数確認されているらしい。さらに、ハンターセルリアンと呼ばれる、輝きを奪うことに特化したセルリアンまで出現しているそうだ。正直に言おう、命の保証はない。無理をしてでも、何人倒れようとも、四神を火山に送り届けなければならない》

《本作戦の参加は自由とする。覚悟のない者が参加しても、無駄死にするだけだろう。参加を辞退する者は、この場で部屋を出てもらって構わない。決して恥ずべきことではない。去る者を罵ることは、この私が許さない。この作戦に全てを捧げることができる者のみ、ここに残ってくれ》


 

 部屋を出ていく隊員は誰一人いなかった。

総司令がニッと笑う。


《……ありがとう。流石は私の見込んだ隊員達だ。では、ついでに無理難題を出させてもらおう。命の保証はないとは言ったが、今回も全員、誰一人欠けることなく帰ってくるのだ!諸君らならそれができるはずだ!この作戦も、必ず成功させるぞ!!》


 隊員達が敬礼し、雄叫びを上げる。


《ではすぐに準備に取り掛かれ!揚陸艇で島に突入するのだ!》


 隊員達がバタバタと会議室を出ていく。

とんでもないことになったと思いつつも、もう一度サーバルやバリー達と共に戦えることをオレは少し嬉しく思ってしまっていた。

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