非常招集_2

「必要な物を取ってきたらすぐに揚陸艇に乗り込め!いいな!」

「了解!」


 急いでホテルに戻り、戦闘服に着替える。

作戦に必要な装備はほとんど揚陸艇に積まれているので、本当に着替えに来ただけだ。


<<キョウ!忘れ物はないよな?>>

「ああ、行くぞ!」

「ま、待ってくださーい!」


 ルイスとリョウと共に、揚陸艇のある港へ走る。


「サーバル、置いていっちゃうわよ!」

「ま、待って待って!今行くからー!」

「あ、キョウ。セーバル達も一緒に行くよ」


 途中で、いつもの服に着替えたサーバル達とも合流した。


<<あれだ。アリサと隊長は先に来てたようだな>>


 船の前で2人が手を振っていた。


「バリー達はもう乗ってるわ」

「装備も全部揃っているそうだ。行くぞ」


「サーバル!」


 隊長に続いて船に乗り込もうとした時、誰かがサーバルを呼び止めた。


「トワ!来てくれたの!?」


 トワ園長だ。見送りだろうか。


「サーバル、これを…」


 園長がサーバルに何かを手渡した。ペンダントのように見える。


「え、これ、トワの大事なお守りでしょ?いいの?」

「きっと、サーバル達の役に立つ…そんな気がするんだ。無事に帰って来て、返してくれれば構わないよ」

「わかった。でも、ワタシじゃすぐ無くしちゃいそうだし…セーバル!これ、セーバルが持っててよ!」

「トワ、いいの?」

「うん、いいよ。じゃあ、セーバルに付けてあげよう」


 園長はペンダントになっているお守りをセーバルの首に下げた。


「ありがとう。絶対返すからね!」

「うん。どうか気をつけて」


「なに、我がいるのじゃ。何も心配はいらんじゃろ」


 燃え盛るように真っ赤な羽根のフレンズ、スザクが空から舞い降りる。


「スザク様、よろしくお願いします」

「うむうむ、任せておけ。ちょっと行ってサクッと封印してくるから、祝勝会の準備でもしておれ!ほれ、行くぞ!」


 スザクは高笑いしながら船に乗り込んだ。


「トワ、行ってまいります」


 真っ白なキツネのフレンズ、オイナリサマが船から出てきて、園長に挨拶をする。


「オイナリサマ、みんなのこと、どうかよろしくお願いします」

「お任せください。それが私の役目ですから」


 オイナリサマはお辞儀をして、船に戻った。


「では、我々も行こうか」

「ジャパリフォースの皆さんも、どうかお気をつけて。フレンズ達をよろしくお願いします」

「お任せください。我々が守りぬいてみせますよ」

「ありがとうございます。サーバル、ドジして迷惑かけないようにね?」

「だ、大丈夫だよ!たぶん…」

「私とセーバルが見張ってるから大丈夫。じゃあ、行ってくるわね」

「お守り、大事にするからね!」


 園長に見送られ、船に乗り込む。



「遅いのです」

「ほら、お前のライフルです」


 船に乗るなり、博士と助手にライフルを押し付けられる。


「2人も来てくれるのか!」

「これの性能を見るついでです」

「他にもいくつか面白いものを持ってきたです。現地実験です」

「はは、博士と助手はブレないな」


 この2人が来てくれたことは素直に嬉しい。

なんだかんだ言いつつも、頼もしい仲間だ。


「まあ、ちゃんと協力はしてやるですよ」

「我々の頭脳に括目するが良いです。助っ人も呼んできてやったですよ」


 船の中には、見慣れないフレンズが2人増えていた。


「呼んできたというより、強制的に連れてこられた感じだがな…ツチノコだ。まあ、なんだ。よろしく頼む」

「私は、トキよ。私の歌が必要だと言われて来たわ。自己紹介も兼ねて、一曲聞いていく?」

「だ、大丈夫!歌はまた今度でいいよね!?いいよねキョウ!!」

「あ、ああ」


 なぜかサーバルが必死に言うので、了承した。


「そう。じゃあ、また後でね」


 トキは少し残念そうに去った。

ツチノコは船の中を興味深そうに観察している。


「あの2人にはジャングルエリアで活躍してもらう予定です」

「我々の完璧な作戦に協力してもらいます」


 博士と助手がオレのマガジンポーチを漁りながら言う。くすぐったい。


「さて、例のマガジンに溜まった輝きは…」

「おお、満タンになりましたね。この短期間によくやったです」


 ゲージは完全に満たされていた。


「もう使えるのか?」

「はい。大物が来たら使うです」

「使いどころはこちらで指示するですよ」

「わかった」


 本当は使わずに済むのが一番だが、まあそうもいかないだろうな。

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