遊園地_3

 メリーゴーランドの方へ戻ると、サーバル達がまだ遊んでいた。

楽しげなリョウとサーベルタイガーや、両腕にサーバルとアードウルフをぶら下げ、セーバルを肩車した隊長も回ってくる。

メルヘンなデザインに全く相容れないマッチョはとてもシュールな光景だ。

カラカルはまだ写真を撮っていた。


「キョウ、コーヒーカップはどうだった?なんか悲鳴が聞こえた気がしたけど」

「あー…」

「とても楽しかったのですよ。お前たちもホワイトタイガーやサーベルタイガーにハンドルを回してしてもらうです」

「必ず全力で回すのですよ?」


 カラカルに聞かれ、答えに詰まったオレの代わりに博士と助手が答えた。


「交代だね!コーヒーカップも楽しみー!」


 メリーゴーランドを降りたサーバルが、コーヒーカップへ無邪気に走っていく。


「我々はメリーゴーランドを楽しむとしましょう」


 普通の馬の他に、大人数で乗る用の馬車タイプが回っていたので、それに乗ることにした。

かわいい音楽と共に、ゆっくりと回転する。とても平和だ。


「ぎにゃああああ!!」

「何なのよこれーッ!?」

「ひゃっほーい!!」

「サーバルちゃーん!?」


 早速コーヒーカップの方から悲鳴が聞こえるが、平和だ。


「ぐわあああああぁぁぁぁ!!」

「た、隊長ーー!!」


 少し遅れて隊長の野太い悲鳴。


「おお、隊長は粘ったようですね」

「やるですね」


 少し経つと、げっそりしたカラカル、結構楽しんだ様子のサーバル、セーバルと隊長、満足げなホワイトタイガーとサーベルタイガーが戻ってきた。


「はあ、かなり刺激の強いアトラクションだったわね」

「そう?ワタシは大したことなかったよ!」

「サーバルさん、この先にもっとスリリングなアトラクションが期間限定でオープンしているんですが、興味ありますか?」 

「あるある!」 

「セーバルも気になる。教えて?」

「では、行ってみましょう!」



 ミライさんに案内されてきたのは、特に何もない広場だった。


「ミライさん、ここで合ってるの?何もないよ?」

「はい、合ってるんです」


 ミライさんが自信たっぷりに答えると、上空を影が横切った。


「よく来てくれたわね!スカイダイバーズのスカイダイビング体験withスカイインパルスへようこそ!」


 バサッと6人のフレンズが目の前に着地した。


「まさか、スリリングなアトラクションって…」

「オフコース!私たちと一緒にスカイダイビングよ!」


 黒い軍服に白い髪のフレンズが、サムズアップして答える。


「私はゴマバラワシ。あの作戦で私たちと組んだ隊員さん達、みんなスカイダイビング経験者でつまらn…私たちのスカイダイビングを楽しんでくれたから、他の人達にもスカイダイビングの楽しさを知ってもらおうと思ったの。さあ、我こそはという希望者は誰かしら」


 茶色と白の軍服で、グレーの髪に黒い斑点がある髪のゴマバラワシは、品定めするように集まったメンバーを見る。


「サーバル、もちろんやっていくわよね?」

「うーん、前に一回スカイインパルスのタイム測定で気絶してるしなぁ…いや、ワタシも成長してるから、今度は大丈夫なはず!やるよ!ハクトウワシ!」

「オッケー!それじゃあサーバルは私が担当するわ!念のためこの命綱をつけてね」


 黒い軍服のハクトウワシがサーバルに命綱を渡した。


「セーバルもやるよ!」

「じゃあセーバルはタカにお願いするわ」

「ええ、任せて。セーバル、クールに行きましょう」


 セーバルには白い軍服のタカがついた。


「私もやってみようかな。スカイレースの時はほとんど寝てたから、空飛んでた感じがあんまりしなかったんだよねー」

「へえ、ライオンはちょっと予想外ね。ハヤブサ、お願いできる?」

「わかった。ライオン、よろしくな」

「よろしくー」


 ライオンは、黄色い軍服のハヤブサが担当。


「ではジャパリフォースの隊員として、私が行かねばなるまいな」

「おっし、じゃあこのオレ、イヌワシがスカイダイビングの楽しさを教えてやるぜ!」

「うむ、よろしく頼む」


 こげ茶色の軍服に青い短パンのイヌワシが意気揚々と隊長に向かう。

波長が合うのか、2人がっしりと握手を交わした。


<<俺も俺も!俺も空に連れて行ってくれ!>>

「ええ、いいわ。ルぺラ、頼んだわよ」

「はい。グアダルーペカラカラのルペラです。よろしくお願いします」

<<よろしくな、ルペラ!>>


 オレンジ色の軍服に長い赤髪のルペラが、ルイスに命綱を丁寧に付けた。


「さあ、あと1人よ。希望者はこれだけ?博士と助手、どう?2人いっぺんにでもいいわよ」

「「遠慮するのです!」」


 博士と助手はススッとオレの後ろに隠れた。


「ふむ…私の直観は、あなたが良さそうだと言ってるんだけどねえ」


 ゴマバラワシがオレの目の前に迫る。


「大丈夫、危険はないわ。1回、やってみない?」


 オレもさっきのコーヒーカップで結構参っているのだが…

博士と助手が上着の裾をチョイチョイと引っ張り、(輝きを溜めるのに挑戦する価値はあるですよ)(物は試し、なのです)と囁いてくる。

仕方ないか…


「わかった。オレも挑戦するよ」

「本当?嬉しいわ!」


 オレの返事を聞き、ゴマバラワシがいい笑顔を見せる。

そのまま命綱を受け取り装着すると、後ろから抱きかかえられる形で足が地面を離れた。

他の5人も同じ形で、一定の間隔を空けて上昇していく。

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