遊園地_2

「やっほーう!まずはどこに行く!?どこがいいかな!?」


 サーバルは興奮気味にしっぽをパタパタと振っている。


「最初はあちらのメリーゴーランドやコーヒーカップのアトラクションがオススメですよ!」

「よし、いこう!」

「いぇーい」

「そんなに走るとまた転ぶわよ!」


 ミライさんの話を聞くなり、サーバルとセーバルが走っていく。


「あ、そうだ。皆さんに遊園地のパンフレットをお渡ししておきますね。私はサーバルさん達と一緒にいますが、もし気になるアトラクションがありましたら、自由に遊んでいただいて構いません。この番号で連絡がとれますので、何かあればすぐに連絡してくださいね」


 ミライさんからパンフレットを受け取る。


「ミライさーん!はやくはやくー!」

「はーい!今行きますー!」


 サーバル達に急かされ、ミライさんが走っていく。


「キョウ、どうするのですか?」

「輝きを溜めるために、しっかり遊ぶのですよ」


 博士と助手がマガジンの入ったポーチを見て言う。


「とりあえずミライさんについていくよ。オススメの順番で案内してくれるみたいだしな」

「賢明な判断ですね」

「我々もお供してやるです」

「ははは、嬉しいよ」

「そうと決まれば我々も早く行くですよ」

 

「私達はあっちのジェットコースターに行くわ。あんなゆっくり動くものじゃ満足できないもの」

「お、ええやん!クロヒョウ、ウチらも行くで!」


 チーター、ヒョウ姉妹は別行動を選択。一緒に来ていたブラボーチームのほとんどもそれに続いた。


「ジャガー、オレはあっちのお化け屋敷というのが気になるぞ」

「え、姉さん怖いの大丈夫?注射をあんなに怖がってたのに…」

「そ、それとこれとは話が違う!」

「いいじゃない、私も行くわ」

「ゾナもジャガーについていくよ」

「私もそっちに興味があるわ。隊長、また後で」


 ジャガー達とトラ、アリサはお化け屋敷の方から回るようだ。



「ミライさん!待ちきれなくてもう乗っちゃった!」

「これ、楽しい…」


 サーバルとセーバルは一足先にメリーゴーランドに乗っていた。


「ああ…サーバルさんもセーバルさんもいい笑顔で、こちらまで嬉しくなりますー」


 ミライさんはまたよだれを垂らしそうな顔でメガネに手を添える。

隣でカラカルがカメラを連射している。


「我々はこっちに乗るですよ」

「セントラルの遊園地にしかない特大コーヒーカップです」

<<おお、デケーな!何人乗れるんだ?>>

「6人まで乗れますよ!」

「じゃあこの4人と…」

「私も。バリーも乗ろうよ」

「うむ、いいだろう」

「我々は後でサーバル達と乗る。気にするな」

「僕は回転する系は苦手なので、遠慮しておきます」


 隊長とホワイトタイガー、辞退したリョウを残し、博士と助手に、ルイス、ライオンとバリーと一緒にコーヒーカップに乗る。

席に着くと、カップがゆっくりと回転し始めた。

一般的なコーヒーカップのアトラクションより一回り大きく、6人でも余裕を持って座ることができる。

そしてカップは1つしかなく、カップ外の底面や外壁がクッション材のようなフワフワした材質になっていた。


「真ん中のハンドルを回すのです」

「回転が速くなって楽しいらしいです」

「おっけー。私たちが回してあげる」

「よし、ライオン、いくぞ」


 ライオンとバリーが勢いよくハンドルを回す。


「おお、早くなってきたのです…」

「ば、バリー、ライオン、ほどほどに、ほどほどにするのですよ?」


 カップがぐんぐんと回転速度を上げる。


「なんの、まだまだ!」

「あはは、楽しいかも!」


 カップがギュインギュインと回転する。


「きょ、キョウ!想像していたのと違うのです!」

「オレもオレが知ってるコーヒーカップと違うと思うぞ!」

「も、もう、もうそろそろいいのです!」

<<ははは!戦闘機の訓練みたいだな!>>


 博士と助手が遠心力に耐えかねてオレにしがみつく。

しかしオレも耐えられるという訳ではない。


「うおおおお!?」

「ひえええええ!!」

「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!」

<<うひょおおおおおう!!>>

「うわーーい!!」

「おおっと!」


 ついにはカップから投げ出され、クッションでぼよーんと跳ね、しがみついていた博士と助手もろとも情けない姿で転がる。

ルイスとライオンも同様に跳ね飛ばされたが楽しそうに笑っていた。

バリーだけは空中でしっかりと受け身を取り、カッコよく着地していた。すげえ。


「すごいですよ!さっきの回転速度、歴代最速です!!」

「そ、そうか…」

「うう、これは予想外です…」

「薄々気づいてはいましたが、ここまでスリリングだとは思わなかったのです…」


 しがみついたまま離れない博士と助手を連れて、クッションの外に出る。

コーヒーカップって回転速度を競うアトラクションだったっけ…?


「いやー、なかなか面白かったよ」

<<時間があったらもう一回乗りたいな!>>

「うむ、私も気に入ったぞ」


 ルイス達はハマったようだ。

次誘われたら遠慮させてもらおう…

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