巨大セルリアン撃破_2

 隊長から渡された書類に必要事項を記入し、貨物室へ向かう。

隊長の話では、そこに予備のライフルがあればすぐに受領できるらしい。


 貨物室に入ると、数名のクルーが作業をしていた。

書類を誰に渡せばいいのやら、と見回していると、一番近くにいた女性クルーと目が合った。


「お疲れ様です。何かご用ですか?」

「作戦中にライフルを壊してしまって、申請書を持ってきたのだが…」

「ちょっと見せていただいても?……KM-23ですね。すぐに用意できますよ」


 そう言ってクルーは貨物室の奥から新品のライフルを持ってきてくれた。


「でかしたのです」

「では、もらっていくですよ」

「うわ、いつも急に現れないでくれよ…」


 いつの間にかついてきていたらしい博士と助手が、ずいっと前に出てクルーからライフルを受け取る。


「コノハちゃん博士、重くない?」

「問題ないです。撫でるなです」

「博士を子ども扱いしてはいけないのですよ」

「あはは、ごめんごめん」


 クルーは親し気に博士をもふった。


「博士達はよく遊びに来ていたんですよ」

「別に遊んでいた訳では…助手をもふるのもやめるのです」

「なるほどそれで…で、博士。それはどうするんだ」

「もちろん、約束通り改造するです。待つのも面倒なので取りに来たのですよ」

「キョウにはもう少し付き合ってもらうですよ」

「あでゅー、です。近々また来るです」


 助手にぐいぐいと引っ張られ、貨物室を出る。

博士が空き部屋を見つけ、そこへ入る。


「ここなら丁度いいですね」

「ではキョウ、脱ぐです」

「は?」


 脳の処理が一瞬止まる。


「そのボディーアーマーが邪魔なのですよ」


 博士が巻き取り式のメジャーを伸ばして無表情で言う。

脳、再起動。


「ああ、わかった」

「次は腕を横に伸ばすです」


 アーマーを外し、博士の指示通りのポーズで立つと、2人はメジャーで測り数値を紙に書き込んでいく。


「これも改造に必要なのか?」

「その通りです」

「次はライフルを構えるです」


 渡されたライフルを構えると、また2人が測り、書き込む。

その後も立膝や匍匐状態など、様々なポーズを取らされた。


「…このくらいでいいでしょう」

「結構疲れたぞ…」

「このデータをもとに、お前専用のライフルに仕上げてやるです。期待して待っているといいです」

「さっそく取り掛かるですよ…と言いたいところですが、なかなか良い時間になってしまいましたね。巨大セルリアン撃破の瞬間を見逃すのはあってはならないことです」


 腕時計を見ると、隊長と話してから2時間ほど経っていた。

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