巨大セルリアン撃破_1

 ヘリで揚陸艇に戻ると、ルイスは休むことなく船内にある何かの機材を弄り始めた。


「何をしてるんだ?」

<<パークのカメラの映像をこれに映すんだ。巨大セルリアンを撃破するとこ見たいだろ?>>

 

 さも当然のように言い、3つ並んだモニターにケーブルを繋いだりしている。


「見たい!」

「それは私も興味がある」

 

 サーバルやバリーも加わり、ルイスの作業を興味津々な様子で眺めていた。


<<よし、これでいいはずだ>>

 

 10分ほど機材と格闘した後、ルイスがモニターの電源を入れる。

パークのどこかにあるカメラの映像がモニターに映し出された。

森林の中に作られた道。ジャングルではないようだ。


<<さて、ちゃんと映ってるカメラはあるかなっと>>


 ルイスがカメラを切り替えていく。

かなりの量のカメラがあるので、時間がかかりそうだ。


「あ、バスが走ってるね!」


 砂漠エリアにあるカメラに、砂煙を上げて走るバスが小さく映る。


<<砂漠方面のチームは順調そうだな。しかし、いい位置のカメラがないな…>>


 さらに数分切り替えを続けると、恐らく高山地帯に設置されているカメラが遠目に移る巨大セルリアンを捉えていた。

山と比較しても、恐ろしく大きい。


「サーバル、これと一度戦ったのか?」

「うん。でもあの時はこんなに大きくはなかったよ。それでも、ミライさんがフィルターを張りに行く前だったから、全然攻撃が効かなかったけどね」


<<うーん、これよりいい位置のカメラはないみたいだな…少し遠いが仕方ないかな>>

 

 2つ目のモニターで別のカメラをチェックしていたルイスが呟く。


「しかし、なんというか…意思のない感じだな」

 

 巨大セルリアンは山岳地帯をただ徘徊しているように見える。

見た目も様々な部品をごちゃ混ぜにしたような、塊という感じだ。


「私達が最初に戦った時は、反撃もしてこなかったんだ。その状態でも削り切れなかったのだが…」

 

 バリーが少し悔しそうに言う。


<<まあ、何にせよ全エリアの撤退が完了したらコイツもおしまいさ。爆撃機の攻撃に耐えられるはずがねえ!>>

「ルイス、それ、“フラグ”って言うんじゃない?」

<<いいや、サーバルもあのロケットランチャーの威力を見ただろ?あれの何倍もすごい攻撃なんだぜ?>>

 

 なあ、キョウ?とルイスに振られたので、同意する。

流石に耐えられることはないだろう。というか耐えられてしまったら、それこそ打つ手がない。


「お前たち、ここにいたか。最も遅れている雪山エリアの方も、あと3時間程度で撤退完了できそうだという報告を受けた。今のうちに少し休んでおけ」


 隊長に促され、全員モニターの前を離れる。


<<んじゃ、俺は少し横になるわ。何かあったら起こしてくれ>>

「はいよ」

「キョウ、今のうちにライフルの申請書を書いておけよ」

「了解」

 

 ルイスは近くの休憩室のソファーですぐにいびきをかき始め、隊長はサーバルとバリーをアニマルガール用の休憩室へ連れて行った。

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