ジャングルエリアへ
<PiPiPi!!PiPiPi!!>
やかましく鳴る時計のボタンを押して止める。
いつの間にか眠っていたようだ。結界も破られた気配はない。
身支度を整え、テントを出る。
せっかく休憩所の水道があるのだ、そこで顔を洗おう。
「キョウ、おはよう!」
「おはようございます」
休憩所の方からサーバルとアードウルフが歩いてきた。
「おはようサーバル、アードウルフ。サーバル、今回は寝坊しなかったんだな」
「寝坊するとまたカラカルに落書きされるからね…」
「だろうな。昨日のカラカル、滅茶苦茶いい笑顔だったからな」
「あはは…あ、キョウさん、休憩所でリョウさんとセーバルさんが朝ごはんを作ってくれたんですよ。皆さんに食べに来てほしいって言ってました」
「そうか、ありがとう。これから行ってみるよ」
「ワタシ達はさっき食べてきたんだけどね、おいしかったよ!」
「へえ、楽しみだ」
「じゃ、ワタシ達は他のみんなを呼びに行くね。レッツゴーだよ!」
「サーバルちゃん、走ると危ないよー」
パタパタと走っていく二人を見送り、休憩所へ向かう。
休憩所に近づくにつれ、いい匂いが漂ってきた。
「あ、キョウ!おはよう!」
「キョウさん、おはようございます」
「おはよう、セーバル、リョウ。サーバルとアードウルフに聞いてきたぞ」
「じゃあ、そこに座って待っててね。すぐできるよ」
「わかった」
セーバルに指定された席についた。
肉が焼ける匂いが食欲を刺激してくる。
「はい、お待たせ!おにぎりセットだよ!」
「おお、美味そうだな!」
アルミホイルに包まれたおにぎり2つと、味噌汁がテーブルに置かれた。
「こっちが鮭で、こっちには焼いたランチョンミートが入ってるよ。お味噌汁はレトルトだけどね」
「ありがとう。いただきます」
ランチョンミート入りの方のアルミホイルを開けると、まるでコンビニで売っているようなきれいな形に握られたおにぎりが顔を出す。
「おいしい?」
「ああ、肉の表面が良い感じにパリッとしててうまいな」
「やった!」
「おにぎりはほとんどセーバルさんが作ってくれたんですよ。一回教わっただけなのに、焼き加減や形がどれもほとんど同じですごいですよね」
「セーバル、器用なんだな」
「まねっこしたり、同じの作ったりするのは得意なの。リョウ、また教えてね」
「はい、機会があったらまた一緒に料理しましょう」
鮭の方も、レーションの焼き鮭をもう一度軽く焼いているようだった。
「ごちそうさま。おいしかったよ、セーバル」
「えへへ、おそまつさまでしたっ」
席を立ち、ゴミ袋にアルミホイルと味噌汁の器を捨てて洗面所へ向かう。
「あ、キョウさん。戻ったら隊長さん達にも声をかけてもらえますか?先にサーバルさん達にも頼んではいるのですが」
「ああ、わかった。まだ来てないようなら伝えに行くよ」
「セーバルが作った朝ごはんがあると聞いてきたのだがッ!」
顔を洗いながら嬉しそうなおっさんの声を聞き、やはり必要なかったか、と悟った。
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