ジャングルエリア_1

 朝食を終えた後、装備を整えバスに乗り込む。

後片付けやテントなどの積み込みは、フレンズ達の協力でそれほど時間はかからなかった。


「よし、それでは予定通り、ゲートへ向かうぞ。ルイス、出発だ!」

<<了解!到着予定時間は20分後ってところだな>>


「ねえ、キョウ。その首から下げてるのはなに?」


 隣に座っていたセーバルは、首のチェーンが気になったようだ。


「これは認識票を下げてるんだ」

「にんしきひょー?」

「ドックタグって呼ばれる方が多いな。ほら、これだ」


 チェーンを外し、取り出して見せた。


「へえ、板に名前とかが書いてあるんだ。こっちの丸いのは?」

「あ、これロケットペンダントじゃない?」

「お、カラカルは知ってるのか」

「パークセントラルのお土産屋さんで売ってるのよ。中に大切なヒトの写真を入れるんでしょ?」

「まあ、薬とかを入れることもあるらしいが。大体は写真だな」

「…ねえ、見ていい?」

「いいぞ」

「えっいいの!?」

「いいぞ?」


 ペンダントを開け、2人に見せる。


「あ、かわいい」

「ええ、かわいいわね」


「「ネコちゃん…」」


 ペンダントに入っていたのは、右耳としっぽの先だけが黒い、他は真っ白な猫の写真だった。


「名前はコヨミ。かわいいだろ?」

「うん。これがキョウの大切な写真なの?」

「ああ、オレの大切な友達だからな」

「あ…」


 はっとした顔をするセーバルに、人差し指を口元に当てるジェスチャーをする。

セーバルも小さく頷いて答えた。


「えー、キョウのペンダント、ホントに猫の写真だったの!?」

「まさかルイスさんが当たりだったなんて…」


 反対側の席にいたアリサとリョウがざわついていた。


「なんだ、賭けでもしてたのか?」

「いえ、賭け事をしていた訳じゃなかったんですけど、中身は何かなって話になりまして」

「そんなに気になることか?」

「気になるわよ…ねえ?」


 隣でカラカルも深く頷いているが、全然わからん…


<<盛り上がっているところ申し訳ないが、ゲートが見えてきたぞ>>

「お前たち、流石に緩みすぎだ。切り替えろ」

「すみません!」


 隊長に叱られ、リョウ達はきりっとした顔を作る。


 ブラボーチームは既に到着し、待機していた。

隊長がバスを降り、ブラボーチームの隊長と状況確認を行う。


「こちらは小型のセルリアンとの戦闘が数回あった程度で、拍子抜けするくらい何もなかったな。そっちは結構大変だったんじゃないか?大きな咆哮のような音が聞こえたが」

「うむ、頭が3つあるアカガウの変種を倒した。ロケットランチャーを使わされたよ」

「おおう、先に倒してもらえて良かったぜ…そんな奴が帰還ルートにいたら、みんなお家に帰れなくなっちまう」

「フレンズ達の話ではもういないようだが、警戒は怠らないでくれ」

「任せろ。帰り道はキレイに掃除しておくから、ササッとジャングルエリアのフレンズを乗せて戻ってきなよ」

「うむ。チーター達をよろしく頼む」


 隊長が戻ってきて、チーター達をブラボーチームのバスへ連れて行った。


<うーん、これは少しマズいかもしれませんねぇ…>


 バスの助手席で待機中のラッキービーストが、ミライさんの独り言を漏らす。


<<何かトラブルでも?>>

<ジャングルエリアのフレンズさんから、大型のセルリアンを発見したとの報告がありまして…それがフレンズさん達にとって厄介な性質を持っているようなんです>

<とにかく皆さんはジャングルエリアのフレンズさん達との合流を優先してください。その間にこちらで対応してみますので!>

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