サバンナエリア_16

 それぞれが寝床へ向かい、オレも自分のテントに入る。

ボディーアーマーを脱ぎ、ライフルを置いてメンテナンスを始める。

作業中、ミツクビクロガウを倒した後のことを思い出していた。


―もし、セーバルが来てくれなかったら。


 オレは「輝き」を奪われていたのだろうか。

そもそも、セルリアンの攻撃は輝きを奪うことだけが目的なのか?

あの時飛びかかってきた小型のセルリアンならまだしも、ミツクビクロガウのような大型セルリアンの攻撃を受けたら、輝きを奪われる前に死ぬだろう。

こんなボディーアーマーなど役に立たないはずだ。

ヒトの輝きを奪うのに、生死を問わないとしたら…

ジャパリフォースの隊員はフレンズ達の雰囲気であまり緊張感を持てずにいるが、実際はとんでもない危険地帯にいるのではないか。


 メンテナンスを終え、不安を振り払うようにライフルのコッキングレバーを引き、ボディーアーマーの隣に置く。


 時計のアラームをセットし、寝袋の上で横になるが、なかなか寝付けない。

―サーバル達と自己紹介をしたとき。

最初はいつも通り、一線を引いて最低限の関係でいようとしていた。

そうすれば、もし失ったとしても辛くない。

ジャパリフォースに入る前はずっとそうだった。


「今隣にいる仲間が、明日にはいなくなっているかもしれない」


 そんな場所で関係を深めたところで、後で自分が辛い思いをするだけだと考えていた。

しかしサーバルにはあっさり見抜かれてしまった。

そこで、オレは覚悟がなかっただけだと気付かされた。

悲しみに向き合う覚悟も、そうならないために絶対に仲間を守るという覚悟もオレにはなかった。

今回はジャパリパークを守るために来たのだ。

オレがパークを、フレンズ達を絶対に守る、あの時そう心に誓ったのだが…

今日はまた守られてしまったな。

これじゃあ、あいつに顔向けできないじゃないか。

今度こそ。今度こそ、オレが守る側でいなくては。

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