サバンナエリア_8

「ガアァァアアアッッ!!」


 一瞬前に自分が立っていたところを、ミツクビクロガウが噛みつく。


<<ハハハ!スリル満点だな、キョウ!>>

「上じゃそんな余裕ないぞ!」


 オレとルイスはバスで命がけの鬼ごっこをしていた。

振り落とされないよう屋根の手すりにしがみつきながら、相手の出方を窺う。


「右だ!」

<<はいよ!>>

「左!」

<<おおっとあぶねえ!>>


 ミツクビクロガウが飛びかかり、土煙が上がる。


「グウウウウ…」


 ミツクビクロガウはなかなか捕らえられない獲物に飽きたのか、バスを追うのを止め、後方で戦っているバリーや隊長達の方を見る。


「余所見してるんじゃないぞ!」


 頭に1発銃弾を撃ち込み、再び注意を引く。


<<もっと遊ぼうぜ!>>


 ルイスもクラクションを鳴らして挑発。


「グガアアアアアア!!」

 

 怒り狂ったようにミツクビクロガウがバスに迫る。


<<おお、こわいこわい!>>


 こうしてサーバル達が呼び出されたセルリアンを掃討する時間を稼いでいた。





「バリー、1体抜けた!」

「問題ない!」


 隊長が仕留め損なったセルリアンをバリーの1撃が吹き飛ばす。


「弾切れ!?」

「こっちもお願い!」

「大丈夫、任せて」


 サーベルタイガーが剣を振り抜き、リョウとアリサに迫るセルリアンが真っ二つになる。


「お、こっちも終わったみたいだねー」

「あの程度じゃ遅すぎて話にならなかったわ」

「わ、私達の方も終わりました」

「あとは『アタマミッツリアン』だけだね!」


 それぞれ戦っていたフレンズ達も合流した。


<キョウ、ルイス、もういいぞ!残りはアタ…ミツクビクロガウだけだ!>

<了解!>

「…惜しい」


<<よし、戻るぞ>>


 無線の連絡を受けたルイスが進路を隊長達の方へ向け、加速。

車内に戻り、ロケットランチャーを手に取る。


「来るぞ!」

「ライオン、右足の関節を狙おう」

「おっけー」

「サーベルタイガーはトドメを」

「わかったわ」

「では、行くぞ!」


 バリーとライオンが飛びかかる。


「はああああああ!!」

「おりゃああああ!!」


「グオオオオッ!?」

 

 ミツクビクロガウは二人の強烈な一撃に大きくよろめいたが、踏み止まった。


「サーベルタイガー!」

「一点集中…シャインサーベル!!」


 サーベルが煌めき、ミツクビクロガウの右足が宙を舞う。


「グギアアアアアア!!?」

ミツクビクロガウは片足を失い、地面に転がった。

「よくやった!すぐに離れるんだ!」


 三人が飛び退き、隊長の方へ戻った。


「キョウ!今だ!」

<<ベストポジションだぜ、キョウ!>>

「了解!」


 バスから飛び出し、ロケットランチャーのスコープを覗く。


<<石をハイライトした!外すなよ!>>

「わかってる!」

「みんな耳を塞いで伏せろ!」


 息を吐き、赤く光る石に照準を合わせ、引き金を引く。

バックブラストで土煙が舞う。

ロケット弾が命中し、爆発。

放たれたメタルジェットは銃弾をものともしなかった装甲を容易く貫き、

石を直撃した。

ミツクビクロガウの体が崩壊し、様々な大きさの輝く立方体となって弾ける。

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