サバンナエリア_1
「よし、全員揃ったな。今まとめた荷物をオオイヌ…」
「今サーバル達が乗っている輸送ロボットに積み込んだら、いよいよ出発だ」
「ルイス、車の運転も頼むぞ」
<<了解、隊長。快適な旅をお約束しましょう>>
<<ほれ、サーバル、カラカル、そろそろ降りてくれー>>
「はーい。オオイヌちゃん、また遊んでね!」
サーバルの言葉を理解したのか、オオイヌは嬉しそうに体を揺らす。
野営用のテントや食料、予備の弾薬などを備品を積み込み、各チームが装甲バスに乗り込む。
中は十分すぎるほど広く、シートは思った以上にふかふかだ。
「まるで観光バスだな…」
「窮屈なよりはいいじゃない」
「遠足にでも行くみたいですね」
「お前たち、気を緩めすぎるなよ?」
隊長に念を押され、ひとまず真面目な顔をする。
<<えー、皆様お待たせいたしました。ルイスのサバンナツアーバスはこれより出発いたします>>
「全く…」
隊長はやれやれと首を振る。
<目的地は私がガイドいたします。サバンナエリアのフレンズさん達のところに向かいましょう!>
「了解!」
遂にバスが動き出す。
<すみません、セルリアンの反応はラッキービーストのセンサーで確認してはいるのですが、念のためどなたか見張りをお願いできますか?>
「了解。オレが行きます」
<<今ルーフのハッチを開けるから、ハシゴで屋根に上がってくれ>>
「セーバルも一緒に行っていい?セルリアンの気配はなんとなくわかるよ」
「ああ、助かる」
セーバルを連れて屋根に上がり、周囲を見渡す。
一面に広がる草原とまばらに点在する木ばかりで、今のところはセルリアンの姿はなかった。
バスの後ろはオオイヌ達が追走している。
「うん、やっぱりカッコいい…!」
「セーバル、もしかして走るオオイヌが見たくてついてきたのか?」
「えへへ、当たり。でもちゃんと見張りもするよ?」
「頼むぞ?何か見つけたら教えてくれ」
「うん。まかせて」
後ろはセーバルに任せ、前方の見張りに集中する。
「ねえ、キョウ?」
しばらくして、セーバルが声をかけてきた。
「ん?何か見つけたか?」
「ううん。何にもいないから、ちょっとお話ししたいなって」
「気を抜きすぎなければ大丈夫だぞ」
「じゃあ、キョウに質問していい?」
「構わないよ。答えられるかは分からないけどな」
「わかった、答えられたらでいいよ。じゃあね、キョウはどうしてこのお仕事をしているか、教えてくれる?」
「あー、そうだな。ざっくり言うなら、憧れた人がいたからかな」
「憧れ?」
「子供の頃に災害に巻き込まれたことがあってな。大切な友達もいなくなって、もうダメだって思った時に助けに来てくれた人が、今のオレみたいな仕事をしてる人だったんだ」
「それで、オレも誰かを助けられるようになりたいと思ってな」
「そっか…セーバルとちょっと似てるかも」
「セーバルと?」
「わたしね、サーバルに助けてもらったの。映画で見たでしょ?」
「ああ。サーバル格好良かったな」
「でもあれ、ちょっとだけ違う。映画だとサーバルはお塩を捨てたけど、本当は、サーバルはお塩を食べちゃったの」
「ええ、どうして?」
「わかんない…でね、セルリアンだったわたしは、お塩を食べたサーバルは死んじゃうと思った。しょっぱさで倒れちゃってたし」
「実際はそんなことなかったんだけど、セーバルの中では、サーバルはわたしを命がけで助けてくれたんだ」
「だからね、がんばってサーバルより強くなって、今度はわたしがサーバルを助けようって決めたの」
「なるほどな。確かに似てるかもな」
「キョウ、なんか恥ずかしくなってきた…これ、みんなにはゼッタイ内緒にしてね?」
「ああ、約束する。オレもこの話をしたのはセーバルだけなんだ。内緒にしてくれよ?」
「うん、約束!」
「おっと、おしゃべりはここまでだな」
前方に何か見えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます