ラッキービースト

「キョウ、待たせたな」


 結局アカガウを倒してから、セルリアンの襲撃はなかった。

揚陸艦からの輸送が終わり、両チームのメカニックが移動用の兵員輸送車などのチェックを始めていた。


「さっそくセルリアンの襲撃があったようだが、大丈夫だったか?」

「問題ありません。オレ達の装備もセルリアンに対して有効です」

「ワタシ達も大丈夫だよ!」

「うむ、それは良かった。やはり隊長である私が最初に行くべきだったか…サーバル達の勇姿、この目で見たかったぞ!」


 隊長は割と本気で悔しそうな顔をしていた。


「まあまあ、これから嫌というほど見せてあげるから。ね?」

「うむ…」

<<みんな、ちょっとこっちに来てくれ!>>


 ルイスは小さな青いロボット、ラッキービーストを弄っていた。


<<これでよし…ラッキービースト、起動!>>


ピッ…

ガガ…

ガガ…


<ラッキービースト、起動チュウ…>

<ラッキービースト、起動完了>


 ラッキービーストの目と、胴体にベルトで取り付けられているレンズ状の端末が緑色に発光する。


<<よし。ラッキービースト、スタッフモードを起動してくれ>>

<ワカリマシタ。スタッフモード、起動>

<<パークセントラルからの接続を確認>>

<承認待機中デス>

<<接続を承認>>

<接続ヲ承認シマシタ。遠隔操作ニ切リ替ワリマス>

<あー、音声テスト、音声テスト。こちら、ミライです。ルイスさん、聞こえますか?>

<<ミライさん、ばっちり聞こえてるぜ>>

<良かった、接続成功ですね!>


「わあ、ミライさんの声だ!」

<はい、パークセントラルから通信でお話ししているんですよ。サーバルさん、ラッキービーストの前に来ていただけますか?>

「ここでいいの?」

<はい!ばっちりです!今日も可愛らしいですねぇ…>

「ミライさん…?」

<ああ、すみません!今のはカメラのテストです!>

<私もラッキービーストを使って皆さんのお手伝いをさせていただきますので、よろしくお願いします!>

「こちらこそ、ミライさんにガイドしてもらえるならとても心強い。よろしく頼むよ」


「まさかこんな形でミライさんがついてきてくれるとは、予想外だったわね」

<だって、皆さんがパークのために頑張ってくださるのに、ただじっと待っているなんてできません!>

「それでこそ、わたしたちのミライさんだよね」

「正直私たちだけじゃちょっと不安だったから、すごく助かるわ」

<皆さんにそう言っていただけるなんて、パークガイド冥利に尽きますね…カラカルさん、セーバルさん、今回もよろしくお願いしますね>

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