初陣

「うわ、あれアカガウだよ!?」

「強いのか?」

「うーん、1人じゃそれなりに面倒な相手ね」

「中ボスって感じかな。わたしたち3人で戦えばやっつけられる」

「よし、カラカル!セーバル!行くよ!」

「いや、ちょっと待った!」


 駆け出そうとするサーバル達を止める。


「先にオレにやらせて欲しい。危なそうなら助けてくれ」

「んー、わかった。気を付けてね!」


 オレ達の装備が本当にセルリアンに有効か試すには丁度いい相手だ。

いざ戦って歯が立ちません、では話にならない。


 まだ視認はされていないようだ。

ヘルメットのバイザーを解析モードに切り替える。

これはパークガイド用のメガネに搭載されていた解析機能を、セルリアンの弱点である石の解析に特化させたものだ。


解析中…

解析中…


―解析完了


 解析時間は2秒ほど。

遅くはないが、咄嗟には使えないな。

バイザー越しにセルリアンの石がハイライトされる。

首の少し下で射線は通る。

距離は約50m、有効射程内。


「ガァァァァァァァッ!!」

「キョウ!見つかったよ!走ってくるよ!?大丈夫!?」

「ああ、今試す」


 まずは照準を石からずらした位置に合わせ、落ち着いて引き金を引く。


CON!CON!


「ガッ!?ガウッ!?」


 2発の弾丸を受け、アカガウが怯む。

弱点の石以外に当ててもそれなりにダメージを与えられるようだ。

今度は石を狙い、引き金を引く。


CON!


「—ッ!!」


 石が砕け、パッカーンとセルリアンが爆ぜた。


「うん、問題ないな」

「他にセルリアンは…」


 振り返ると、3人はぽかんと口を開けていた。


「す…すっごーい!!」

「アカガウを1人で、それもこんな遠くから倒したの!?」

「もうキョウ1人でいいんじゃないかな」


「今回はみんなが先に見つけてくれたからだよ。毎回こう上手くいく訳じゃないから、助けてくれよ?」

「そっか、りょーかいっ!」


「ん?もう一体来るわよ!」

「オッケー!キョウ、今度はワタシ達に任せて!」

「セーバル達もカッコイイところ見せる!」


「無理はするなよ!」


 2体目のアカガウに向かって走る3人に声をかけ、バイザーを再び解析モードにする。


――解析完了


アカガウの背中にある石がハイライトされる。


「背中だ!背中に石があるぞ!」


 見事な連携でアカガウを翻弄している3人に向かって叫ぶ。

距離はあるが、サーバル達の耳なら聞こえるだろう。


 セルリアンの大ぶりな攻撃をひらりと避け、3人が一斉に飛び上がる。


「烈風の!」 「サバンナ!」「クロー!!」

「エリアル!」「ループ!」 「クロー!!」

「セーバル!」「がんばる!」「ボンバー!!」


 パッカーンッ!!

強烈な同時攻撃で、石はいとも簡単に砕けた。


「やったーっ!」

「決まったわね!」

「どう?キョウ、わたしたちカッコよかった?」

「ああ、すごく格好良かった!」


 笑顔で戻ってくる3人を迎え、セルリアンの警戒を続ける。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る