出発

「すっごーい!!」

「カッコイイ!!」

「でっかいわね…」


 港には巨大な軍艦が停泊している。


<<これは揚陸艦っていう種類の船でな、人や乗り物を運ぶのが目的なんだ。これで島に近づいて、ヘリコプターで今回使う車とかを島に上陸させるんだぜ。車の方もカッコイイから期待しといてくれよな!>>

「「見たいッ!!」」

<<サバンナに着いたら嫌というほど見られるさ!>>


 メカニックのルイスの説明に、サーバルとセーバルが目を輝かせる。


「さあ、乗り込もう。島に着くまでに装備をしっかり身に着けておくんだぞ」

「了解!」


 船に乗り込み、各自必要な装備を確認し始める。

戦闘がメインの自分に必要なものはそう多くない。

セルリアンを倒すためのライフルと補助のピストル、予備の弾薬、プロテクターにヘルメット、そして麻酔銃…

これはフレンズがセルリアンに輝きを奪われ、元の動物に戻ってしまった場合に安全に保護するためのものだ。

これは絶対に使わない。使わせない。そう心に誓い、ホルスターにしまう。


 リョウも自分と似たようなものですぐに準備を済ませ、アリサは医療品などを整理し、ルイスはよくわからない装置のようなものをガチャガチャやっていた。




「上陸はセルリアンに備え、キョウとサーバル達に先行してもらう。ヘリが荷物を運び終わるまで、見張っていてくれ」

「はーい!キョウ、がんばろうね!」

「ああ、3人とも頼りにしてるよ」


 そうこうしている内に船は島の南側に到着した。


「よし、上陸部隊、発進!」


<<ルイス速達便、行くぜー!>>

「わーい、飛んでるよー!」

「ペダルを漕がなくていいのは楽でいいわね!」

「さすがスカイレース出場者。セーバルちょっと恐い…」

「ルイスの操縦なら大丈夫だ。ほら、もう着くぞ」

 

 数分でヘリは島に着陸する。

ドアを開けた瞬間、草の匂いと共に熱気が押し寄せてきた。

これがサバンナの気候か…


<<じゃあ次の便を取ってくるから、ここは頼んだぜ!>>

「ああ、任せとけ!」


 ライフルを構え、周囲を警戒する。

もうここは安全地帯ではないのだ。


 しかしセルリアンの姿は見えない。


「サーバル、聞こえた?」

「うん。キョウ!あっちから何か来るよ!」


 カラカルと一緒に耳をピコピコ動かしていたサーバルが叫ぶ。

サーバルが指さした方を銃のスコープで覗くと、赤い恐竜のようなセルリアンがこちらに向かってきていた。

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