第48話 村の壁作り

「夕食に遅刻なんて珍しいですね、そんなに眠かったんですか?」


「目覚ましを掛けてたんだけどねえ、熟睡しすぎちゃった」




 夕食に20分程遅れてしまった。多分夜の試合があるから本能的に体が熟睡しちゃってたのかもしれないな。ミューエルに起こされなかったら夕飯食べ損ねるところだった。目覚ましがずっとバイブレーションしてたのに全く気付かなかった。かなり激しく震えるように設定してたんだけどな。ドンだけ俺は気合入れてるんだかね......。




 夕飯を食べないで相手にするのは自爆行為だから、しっかりご飯を食べて体力満タンでお相手する準備をする。満腹になるまで夕食を食べて、お腹が膨れた後はお風呂に入る。しっかり体を清めて浴槽で精神統一をする。エッチなことを考えると確実に相手に主導権を取られちゃうからね、息子は熱く、頭は冷静にを心に刻んで試合に向かう。大丈夫、1対1なら勝てる相手だ。場の空気とミラに飲まれちゃダメだぞ......。よし、いざ勝負!












「1対1、なわけないよなあ......」




 俺の予想した都合のよい場など用意されるわけもなく3人相手にしました。ハッスルしすぎたよ、あの吸血鬼野郎と闘った時よりも体力と精神力使ったわ......。頭も上手く働かないよ。これはあれだな、激しい運動をした後にまったく寝ないで学校に行った時と同じくらい頭が働いてないな。




 部屋を物音を立てないように後にし、ヨロヨロと干物にでもなったような気分で食堂に向かう。枯れ果てた体に潤いを与えるように少しずつ水を流し込む。椅子に腰を掛け、15分ほど休むとようやく頭が働き始めたので体を動かす。筋肉を酷使した後はストレッチしないといけないからね。




 30分ほどストレッチをして静かにベッドに戻り空いているスペースに体を収めて睡眠をとる。大きなベッドなんだけどミラ達は寝相が悪いので少し蹲るようなくらいのスペースしかない。ああ、春の大草原の中で何も考えずに20時間くらい寝てたいわ......。








 身体の回復力が異常に高いのでいつも通りの時間に目が覚める。試合後の翌日はいつも思う、この回復力がなきゃ10回戦以上も戦い抜くことはできなかったと。ここの世界の女性がそうなのか全世界の女性がそうなのか知らないけど、性欲強すぎないかな。1人の人間が10回戦ってどうなん? ここに来る前の俺なら想像すらできなかったぞ......。今度べスに聞いて見よ。




 失った精力を回復させるために朝飯を食べまくる。朝飯食べれば体の調子が良くなるからね、回復力も上がる気がするんだ。気持ちの問題なんだろうけどいっぱい食べないと精力って回復した気にならないんだよなあ......。




 朝食を食べながら今日のやることを考えていく。2,3個ほど思いついたので朝食を食べ終え、準備をする。今日やる内容的に汚れてもいい服装に着替える。じゃないと気分が落ちるからね、魔法で綺麗になるからってやっぱり衣服は汚したくないじゃん?




 10分程で支度を終えたので、まずは思いついた1つ目の内容、村周辺の外壁作りだ。現在の村は周りを2メートルほどの柵を植えているだけなので気になっていた。




 村長に村に壁を作ることを伝え、許可をもらってから作業に取り掛かる。壁ってあんまりしっかり作るとべスに怒られそうだから簡単な造りだけど侵入はされにくい造りにしなきゃな。




「まずは石を積み上げるか。村囲うほど石材あったかな......」




 無限収納インベントリの中を確認して、計算をすると半分以上足りないことが分かった。仕方ない、また向こうから切り取ってくるしかないか。








 ストレス発散の魔法分派なし場所に行き、石を抉り出していく。限界まで石を掘り出していくと地盤が緩くなる気がしたから、そこからの石材採取を中止する。でも、まだ全体の3分の1は残ってるしどうするべき方考えていたが、土だって固くすれば使い物になるんじゃないかと思い知識を我が手にワールドブックで調べる。




「......圧縮すればいいってことかな」




 俺に読めるように書いてるが良く分からないのでわかった部分だけで納得して実践してみる。まずは1メートル四方に土を切り取って空中で圧縮する。魔素を浸透させながら圧縮すると硬度がますらしいのでその通りにして圧縮するとすごいカチカチのブロックができた。少し縮んだが問題ないな。これで壁が作れるぞ!




 2時間ほど素材作りに集中して、数が足りたので転移で元に戻る。あとは重ねたところを魔法で接着して重ねてを繰り返して5時間、お昼を食べながらも作業したので囲うのはできた。これは魔法が無ければこんな早くできないわ。




 あとは、デカい扉を付けたり梯子を付けたりと、人が使い易いようにする工事をして完成だ。明日からは騎士に2人1組で守って貰お。4人じゃあ足りないかもしれないな、ベンからまた追加で騎士を派遣してもらわないとな。




 気づいたらもう夕方になりそうな時間でやりたいことが1つしかできなかった。でも1日で村に壁を作れたから良しとするかな。ああ、せめてベンには用件を伝えときたいな。面倒だけど顔を出しに行くか......。




 お風呂で汗を流してからベンに会いに行く。ベンの部屋に転移したけど誰もいなかったので用件の事を書いた手紙を書いて家に帰る。最後に明日また顔を出すって書いたからこれで大丈夫っしょ、ベンなら明日までに何とかしてくれる気がするしね。




 夕食にはまだ時間があったので気力と集中力がなくなるまで街道の整備をする。空高く飛んで街道を平らにするだけの簡単なお仕事。1回で数キロを平らにできるので王都までの道のりの4分の1くらいは平らにできた。




「つ、疲れたわ......」




 夕食をゆっくり食べていつもより早い時間に眠りについてしまった。魔法の行使って地味に集中力とか神経使うんだよね......。一日かかる作業の時は昼寝の時間を入れれば今日より効率が良くなる気がする。ベッドに横になりながら今日できなかった残りのやることを考えると俺働き過ぎじゃないかなと思ってしまう。よし、やることが終わったら1週間ほど自由な日を作ろうと心に決めた。俺には定期的な心の浄化が必要だからね!

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