第29話 帰宅

「玄関で話すのもなんだし、夕食にしようか!」


 ミラたちと共に食堂に向かう。ミラがお昼から夕食の準備をしていてくれたらしい。途中から慣れないながらもルナも食事を手伝ったらしい。




「さ! 私たちが頑張って作った食事を楽しんでください!」


 厨房から続々と料理が出てくる。煮込み料理に焼き料理など、どれもこれも美味しそうな匂いをしている。どれも気合いがかなり入っているが、最後に運ばれてきた二つの品は他のより気合が入っている気がした。




「ミラ、この料理は何? とても気合が入っているように見えるんだけど」


「ふふ、これは銀狼族に伝わるお祝いの料理なんですよ! いっぱい食べてください!」


 最初に運ばれてきた料理はミラの民族料理らしい。大きめの魔物の肉にいくつかの香辛料を振りかけて焼いているらしい。ミラが手作りのソースがかかっている。かなり食欲を刺激する匂いだ。これがミラが作った料理なら、もう一つはルナかな?




「じゃあこっちの料理はルナが作った料理かな?」


「そうです! これは猫人族のお祝いの料理です! これはお母さんと作ってたので上手にできました! タクミ様に食べてもらいたくて頑張りました!」


 色々な肉に初めて見る野菜が数種類の煮込み料理。ミラの料理と同じくらい食欲をそそられる。




「うわあ! みんな美味しそうだね! 早速食べようか!」


「では、食べながら今日のダンジョンのお話し聞かせてくださいね!」


「タクミ様のお話し楽しみです!」


 二人がしっぽを振り振りしながら席に着く。作ってくれた料理を少し食べて、話を始める。




「100階層のボスは吸血鬼だったんだよね」


「吸血鬼ですか! 吸血鬼は一体一体がすごく強く、一人で国の軍隊を相手にできるくらい強いらしいです。タクミさんが苦戦するのも無理ないですね」


「タクミ様にけがを負わせるなんてその吸血鬼は始祖クラスのヴェルドラくらいだと思いますけどね」


 スゴイなルナ。一回で誰と戦ったかを当てるなんて......。




「良く分かったねルナ! たしかにあのボスはヴェルドラと言っていたな。あいつは強かった......、だが性格が最悪だったな」


 ヴェルドラだと言った途端に、数秒の間シンとなる。え? 何、何で静かになったの? 俺なんかやらかしたか!?




 自分のどこに失言があったのか考えてる間にミラがため息をついて俺にヴェルドラのことについて説明してくれる。




「タクミさん、ヴェルドラというのは世界の厄災みたいな物なのです。その昔、ヴェルドラは一人で世界を壊滅に追い込んだ魔物なのです。当時世界最高峰の魔法使い10人と世界連合の騎士と魔導士100万人以上の犠牲があって漸く封印ができていたのです。どこに封印されたのかは国の重役でも一部しか知られていないんですよ!」


「そ、そんなにスゴイ奴だったのか......。それに勝った俺は相当すごいやつになるな!」


「そうですよ!タクミ様はすごく強いんです! 最強ですよ!」




 いくつか、話した結果、俺が最強だから勝てたということで話が纏まった。最強......。いい響きだな。最強と言われて少し気分が上がりながら、ミラたちが作ったお祝い料理を食べる。今までに食べたことが無いくらい上手かった。こう、何て言うのかな、滅茶苦茶美味いものを食べた時に、美味い意外に言葉が出ない時の感覚だ。どんどんフォークが進む。そういえば箸とかも作ってなかったな、明日にでも作ってみるか。




「タクミさんどうでした? 頑張って作ってみたのですが」


「タクミ様! 私も頑張りました!」


 食事が終わり片付けも終わって3人で俺の部屋で寛いでいると、先程の食事の感想を聞いてくる。




「全部最高だったよ!」


 2人を抱きしめて、ベッドに倒れこむ。数分ほどベッドでイチャイチャする。ルナは最近かまってあげられなかったからか、いつもより甘えてくる。




「ルナ、今日はかなり甘えん坊さんじゃないか、寂しかったか?」


「はい、タクミ様の温もりが無かったので寂しかったです」


 胸に頭をぐりぐりしてくる。これじゃあ本当に猫だな。心の中で笑いながら撫でていると、むうっとした顔をして俺とルナの間に頭をねじ込んでくる。




「どうしたミラ?」


「私も甘えたいです」


「みんな甘えん坊さんだな」


 二人を抱きしめてイチャイチャする。するとルナが頭をすごく擦り付けてくる。段々身体もくねらせて全身で擦り付けてくる。おいおい、これじゃあ本当に猫じゃないか!




 本当に猫の荒れかどうか確認するために、しっぽの付け根辺りをトントンしてみる。




「んん、うぅ~」


 お尻をこっちに向けフリフリしてくる。うん、間違いない。これだわ。ミラに耳打ちをする。




「ミラ、ルナは今発情期のようだ」


「え!? そんなことがわかるんですか?」


「ほら、しっぽの付け根をトントンすると、お尻が上がってしっぽがピンッてなるじゃん。これって発情しているサインなんだ」


「タクミさんは色々なことを知ってますね。では発散しなくてはいけませんね」




 え、てっきり反対するものだと思ってた。だが、ミラはその後に、私のも発散してくださいねと言われてしまった。これは気合入れないと搾り取られちまうぜ......。




















♢♦♢♦♢♦


 どうもみなさん佐々木タクミです。今俺は全てを搾り取られて干からびております。一方女子グループはというと、寝ているというのに顔はキラキラしており、生気が満ち溢れているようです。俺の生気をそのまま与えてるんじゃないかというくらいにキラキラしている。




 さて、現在の時刻は4時、もうひと眠りする前に、ステータスだけでも確認してしまうか。












名前:佐々木タクミ

種族:人?

性別:男

年齢:17

Lv:3975


HP:1253150/1253150

MP:error/error

力 :532800

防御:573110

速さ:588940

器用:628077



魔法

火魔法lv10

水魔法lv9

土魔法lv8

風魔法lv8

光魔法lv8

闇魔法lv6

空間魔法lv9


スキル

HP回復上昇lv9 MP回復上昇lv10 格闘技lv9 無限収納インベントリ 状態異常無効化 攻撃無効化 獲得経験値10倍 鑑定 マップlv5 成長率増加 魔力操作lv10 魔力消費軽減 直感lv9剣聖lv1 言霊 威圧lv8 高速思考lv2 神眼 ワールドブック知識をわが手に 完全記憶




称号

バルディアの加護

レギオンの加護

魔物の天敵

覚醒者

王殺し

剣の道

ドラゴンスレイヤー

ダンジョン踏破者









 おおう、あいつを倒すとこんなにレベルが上がるのか......。最高だな! これならミラたちを守ることができそうだ。今思ったが、ラノベで自分のステータスが上がって困るぜみたいな主人公を見るが、俺にはちょっと理解できないんだよね。強いならそれでいいじゃん。目立ちたくないっていうのは激しく同意するところなんだけどさ。




 さて、スキルの確認をして、二度寝でもするかな。




神眼…魔眼系スキルの統括、上位スキル




ワールドブック知識をわが手に…自分が知る世界の情報を引き出すスキル。神界のデータベースに直接アクセスするので虚偽の情報は含まれない。虚偽の情報が含まれていた場合、情報を記入した、又は情報を書き換えた者は神界の法で裁かれる。脳内で閲覧か本状にして読むことも可能。




完全記憶…視界に入ったもの、耳に入った音全てを完全に記憶する。今までのあいまいな記憶も完全に記憶される。このスキルで記憶容量を圧迫することはない。知りたい情報はいつでも取り出せる。




 やべえな、流石バルディアセレクト、一つ一つがチートや......。




 さてさて、確認も終わったし二度寝でもするかな。ダンジョン攻略も終わったし、ミラたちをダンジョンに連れて行く以外は戦い以外のことがしたいなあ。農業、工業、魔法の研究でもいいな。やりたいことがいっぱいあるなあ。ま、一個一個ゆっくりやっていきますかね。

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