第18話 ダンジョンを攻略しにかかる
「さて、今日から本格的にダンジョンに潜ります」
夜が明けたのでみんなに本日から始めることを伝える。イスは人数分ないので
みんなベッドの上に座っている。ミラは眠いのか俺の膝に頭をのせて仰向けになっている。ルナはすごいですタクミ様! 興奮気味に話している。
「だからルナは、早くCランクになるように」
冒険者登録をしている人間は原則Cランクからしか入場できない。
「分かりました!」
やる気十分で何より。さて、ミラはどうするのかな? なんとなく解るけどね......。
「ミラはどうする? 何かしたい――」
「タクミさんとダンジョンに行きますよ?」
......やっぱりね。でもいいのかなあ? 普通の女の子がダンジョン潜って。ちょっと心配になってミラを見る。私は冒険者ではないから自己責任ですよ? とそんなこと全然気にして無いように言ってくる。
ミラのそんな目を見たらだめなんて言えないよね。
「タ、タクミさんがいざというときに守ってくれます。よね?」
そ、そんな可愛い顔で俺を見ないでくれ! そんな目で見つめられたら全力で守りたくなっちまうよ! まあ、そんなことなくても守りきるけどね!
「わかった。でも危なくなったら一人で逃げること。いいね?」
わかりました! と元気よく返事をしてくれる。
みんなで朝食を食べて俺とミラはダンジョン、ルナはランク上げに向かう。ダンジョンに行く間の露店で面白いものを見つけた。
帰還石
ダンジョンの中から、ダンジョンの外に転移で戻ることができる。
「おじさん、これいくら?」
銀貨5枚だと教えてくれたので一つぶん買いミラに渡す。
「何かあったらこれで逃げるんだよ?」
任せてくださいと張り切った声で答え、ポケットにしまう。
五分ほど歩き、ダンジョンに入る。一階層は人が相変らず多いな。サクサクと敵を倒し、昨日の倍のペースで進む。途中、ミラが疲れちゃったので、抱っこして進む。
2時間ほどで昨日の壁の部屋に着く。魔法も使っているからそろそろ腹が減った。壁の部屋に入るときにミラは驚いていたが、俺にしがみ付いて見ないようにすることで無事部屋に入る。
お昼ご飯を食べて探索をまた始める。途中、ミラのレベル上げをしようと思い、出てきたゴブリンやコボルト、オーガなどをHP一桁にして俺の剣でとどめを刺してもらう。
もちろん、ミラに何かあっては困るので、敵を空間魔法で首から下は動かないようにしている。パワーレベリングというやつだ。
順調に階層を攻略していき、10階層に着きミラのレベルが7になったころで、ボス部屋らしき場所に到着する。目の前には物凄いデカい土の扉。触れると、自動で開いていく。どうやら引き戸だったようだ。
中に入りきると、扉が閉まる。振り返り触れても何も起こらない。なるほど、討伐しないと出れない系か......。
「敵はなんだ?」
ボスを見ると、3メートルくらいあるゴブリンだ。
名前:ゴブリンジェネラル
種族:ゴブリン
性別:オス
年齢:――
Lv:34
HP:4255/4255
MP:754/754
力 :1321
防御:1433
速さ:975
器用:988
魔法
スキル
剛腕lv3 硬化lv4 HP回復率上昇lv2 狂化
称号
狂暴化
10階層でlv34か。単純で考えたらラスボスのlv300超えるよな......それ勝てるのか? まあ細かいことは気にすんな! その時の俺に任せればいいさ。
ボス部屋の確認をする。円形で半径約100メートル程、障害物は何もなく、とても戦いやすいフィールドだ。
「ミラ、最後はミラがとどめを刺すから準備しておくんだよ?」
緊張しているのか無言で頷く。ミラの頭を撫でて、入り口付近で待たせ、前に進む。ゴブリンジェネラルとの距離が5メートルほどになった時、こちらを認識したのか、咆哮を上げて襲い掛かってくる。持っている棍棒を俺めがけて振り下ろす。
オーガの一撃よりも強く鋭い一撃だ。剣はミラのために残しておきたいので、身体をひねって躱す。ゴブリンジェネラルは躱されると思ってなかったのか驚いている。その間に蹴りが届くとこまで近づき、ジェネラルの右脛を思いっきり蹴る。
足に骨を砕いたような感触が伝わる。ジェネラルは膝をつきそうになるが、踏ん張って俺に叩きつける。危なくないようにバックステップで躱す。普通の魔物ならここで倒れてしまうと思うが、流石ボスといったところか。まだ立っていられる。
「ミラ! そろそろ終わるから準備しといて!」
わかりました! と返事を聞き、心の準備をしてもらったので、フィニッシュをかける。
まずはその棍棒だ。振り下ろしたときに最小限の動きで躱し、棍棒を持っている手を殴りつける。......。意外に硬いな。殴った後に、空中で回転をして踵落としで完全に手を破壊する。
叫びながら棍棒を落とす。落とした棍棒を
先程よりも速く拳で俺を叩き潰そうとしてくる。まじか!? 今までの敵の中でもトップクラスだよ! 横に転がるように避けて、素早く立ち上がり構える。骨が砕けた痛みはどこに行ったのか、ものすごいスピードで此方に向かい殴りかかってくる。
「速い、でも!」
ジェネラルの腕を取りジェネラルの力に俺の力をのせて思いっきり地面にたたきつける。
一本背負いが決まり、受け身をとっていないジェネラルはかなりのダメージが入ったのか、倒れたまま動かない。死んではいないようだから、土魔法で首以外を覆い、さらにその上から空間魔法で固定する。
「ミラ! おいで」
ミラを呼び剣を持たせる。3分程叩いていると、黒い瘴気を大量に出し消える。消えた後には、牙が二本落ちている。
「ミラ、この牙って――!?」
倒れてきたミラをキャッチする。急激なレベルアップに耐えられなかったか。
「お疲れ、ミラ」
ミラの頭を撫でて、ドロップアイテムらしきものを拾い、抱っこの状態で、先に進む。入って来た場所とは反対の所に同じ扉があった。触れると同じように開く。さ、ミラが起きる前にどれだけ進めるかな。
「んん、」
お、起きたな。
「おはよ。お疲れさまだったね」
ミラを降ろして、どれだけレベルが上がったのかを見てもらう。
「レベル28!? すごいですタクミさん!」
おお、結構上がったな。ミラを褒めながら先に進む。そういえばとミラが訪ねてくる。
「タクミさん。今は何階層にいるのですか?」
だいぶ進んでますけど......。なんて言う。何階層だか忘れてたな。ちょっと待ってねと言い何階層かを数え始める。
「確か今は54階層だね」
ミラの顔が可愛いことになっている。ポカんとしている顔が徐々に驚きの顔になる。
「え、え!? 54階層ですか?」
そうだよと伝えると、なおの事驚いている。そういえば今トップのパーティーが60階層あたりにいるんだっけか。
「そうだよ~すごいでしょ」
ニコッと笑いながらミラに聞く。すごいですタクミさん! といい抱き着いてくる。......もう、可愛すぎる。イチャイチャ空間を発動していると、敵さんが現れた。
「オ、オーガキング......」
前回よりも一回り大きいオーガキングが現れた。
名前:オーガキング
種族:オーガ
性別:オス
年齢:――
Lv:93
HP:47856/47856
MP:3251/3251
力 :49885
防御:67761
速さ:36541
器用:26785
魔法
スキル
狂化 肉体強化lv1 重撃lv3 剛腕lv5 硬化lv4
称号
オーガの王
狂暴化
「タクミさん! 逃げないとやら――」
ミラがオーガキングを見た瞬間に言葉を失った。なぜなら、先ほどまでミラを怖がらせていたオーガキングは黒い煙になって消えていたのだから。
「よし、結構早く倒せるようになったな。ミラ、もう大丈......ぶ。どうしたの?」
ミラは今起こったことを理解するのに数秒かかってしまった。ハッとして、タクミさんどうやって倒したんですか! と、ゆすりながら聞いてくる。
「お、教えるから! 落ち着いてミラ」
落ち着いたところでどうやって倒したのかを教える。って言っても何か特別なことをしたわけじゃないんだけどね。
「俺もレベルが上がったから、前よりも強い魔法が打てるようになったんだよ」
次は火魔法を使うから見ててねといい、歩いていく。55階層に降りてしばらくすると、オーガキングとオーガジェネラルが現れた。いくよ、と伝え、見えやすいように少し大きめの炎を作り、オーガ達にぶつける。
「グアアアアァァ......」
バスケットボール位の大きさだったのが当たった瞬間に全身を包む。3秒ほどで焼き尽くし、黒い煙を出して消える。
「タクミさんすごい......」
驚いているようだが、俺をほめてくれる。
「ミラもこの位なら、一緒に戦いの練習をすればできるようになるよ」
頭を撫でながら思っていることを伝えると、ミラはがんばります! と元気に返事をした。
時刻は17時25分もうすぐ日が暮れる。そろそろ帰るかと言って転移で入り口に戻る。
「タクミさん、なんで宿に直接行かないのですか?」
歩きながらミラが話しかける。
「今日はドロップアイテムが出たから先に売りに行こうかと思って」
ドロップアイテムが出たんですか! すごいです~と抱き着いてくる。最近事あるごとに可愛いって言ってないか俺。でもしかたないか、地球にいた時にはこんなにかわいい子見たことも出会ったこともなかったからな。
ギルドに入り、受付でダンジョンのドロップアイテムを売ると、受付嬢が奥へ駈け込んでいった。またギルド長室かよ。待つこと2分ほど、ギルマスが来たようだ。
「あれ、ギルマスが来てくれたんですか」
あっちから来てくれるとは思わなかった。誰かと思ったらお前かよと呆れた顔で言ってくる。なんでやねん、俺別に悪くないいじゃん。
「ゴブリンジェネラルの牙と、オーガジェネラルの棍棒3本。そしてしまいにゃオーガキングの骨か。お前一人でどれだけ潜ったんだよ......」
疲れた顔で聞いてくる。
「一人じゃないですよ、ミラと一緒に行ったんです。そのゴブリンジェネラルの牙はミラがとどめを刺した敵からドロップしたんですから。ついでに今日は55階層まで行きました。強い敵がいっぱいいて楽しかったですよ」
55階層と言ったとたんにギルド内が騒がしくなる。嘘だろ!パーティーも組んでないのに。ありえないだろ......。さすが最速Sランク冒険者だな! これなら金の鳳凰の階層記録抜かせるんじゃないか!?頑張れよタクミ! 驚く声や、俺を応援する声など様々な声が飛び交う。中にはタクミがSランクパーティーに追いつくかもしれない記念で飲むぞー! など言ってギルドから出ていく奴等までいる。
「もう、お前さんがやることについては驚かんようにするわ」
ため息をついて金取ってくるから待ってろと、ギルマス直々に金を取りに行ってくれた。
「ほら、金貨749枚だ」
どんとでかい袋に大量に入った金貨を渡してくる。ちゃちゃっと
「これくらいあれば家とか買えそうですね」
軽い感じで言うと、王城の一番近いところに、大豪邸建てられるわと呆れられた。俺、めっちゃ金持ちやん。ギルマスと適当に話してギルドを出る。宿の前に着くと、ルナが入り口の近くで体育座りしていた。
「ルナか?」
声をかけるとバッとこちらを向き大泣きしながら俺に抱き着く。どうやら部屋に入れなくて、お昼から待ってたが捨てられたんじゃないかって心配だったらしい。
「ごめんな~。心配かけて、ルナがどこかに自分で行くって言うまでは一人にしないからな」
しばらくして泣き止んだが、まだ離れようとしない。頭をポンポンしていると、ミラもぎゅってしてくる。
「もう、2人とも甘えん坊さんだね」
二人とも抱っこして、部屋に戻る。部屋で夕食を食べて体をきれいにしてベッドに入る。二人はまだ甘え足りないのか、ベッドの中では、腕に抱き着く。可愛いからいいけどね。20分ほどすると二人は寝息を立て始める。
「まずい、これじゃ俺が寝れなくなる」
ルナはすこしずつ健康体に戻っていってる段階だからまだ大丈夫。問題はミラだ。ミラは少し大きいのだ。地球で言うCは確実にあるくらいには。それにブラを付けていないからはっきりと感触が分かる。
まずいまずいまずい! 俺の息子が立ち上がりだした。自分の息子と理性の勝負をして何とか理性が勝った。今は勝ったので、この隙に寝てしまう。ダンジョンで疲れていたのか、すぐに眠りにつけた。
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