第13話 自己紹介をしよう

「ミ、ミラどうしたの?」


 ミラの機嫌をうかがうように尋ねる。




「タクミさんどこ行ってたんですか」


 ミラのしっぽがピーンと伸びている。怒っているのかな。勝手に出て行ったからな......。




「ごめんな、起こすのは悪いと思って。ただ武器買いに行くだけだったから......」


 素直に言う。ごまかす必要もないしね。理由を話すとミラは納得してくれた。




「起きた時にタクミさんがいなくてすごく怖かったんですからね! もう一人にしないでくださいよ?」


 抱き着きながら上目使いでお願いしてくる。くっ! この可愛さ100点満点!




 ミラとも仲直りをしてベッドに座り今後の話をする。抱き着きは解除してくれなかったよ......




「ミラ、俺は世界中を旅したいんだよね。次に行く場所を考えてるんだけど、どこかいい場所知らない?」


 ミラに尋ねると、そうですねえ......と言いながら考える。しばらくすると一つの提案をしてくる。




「なら、王都にあるダンジョンに行ってみたらどうでしょうか?」


 ダンジョン? ってあれだよな。魔物が各階層にいて、最後にはダンジョンマスターがいるアレの事か!




「よし! 今日で宿が終わりだから明日ギルドに寄ってから王都に向かうか!」


 ミラにダンジョンには何が必要か聞き、買うものを話し合う。そういえば俺が異世界人なのを言ってなかったな。




「そうだミラ。俺詳しい自己紹介をしてなかったから、今しちゃわない?」


 そういえばと言いミラと自己紹介を始める。




「まずは俺からだな。俺は佐々木タクミ。名前がタクミだよ。俺ね実は異世界から来たんだ」


 さすがに驚いたようだ。ミラが異世界人......。とつぶやいて少し静かになる。




「ミ、ミラ? 大丈夫か?」




「ああ、大丈夫です。異世界人ということはタクミさんは勇者様なのですか?」


 え、何それ勇者とかあるの? めちゃくちゃかっこいいじゃん。自分のステータスを確認してみる。








名前:佐々木タクミ

種族:人

性別:男

年齢:17

Lv:92


HP:13540/13540

MP:16904/16904

力 :2500

防御:2222

速さ:2692

器用:2787


魔法

火魔法lv8

水魔法lv7

土魔法lv6

風魔法lv6

光魔法lv6

闇魔法lv6

空間魔法lv7


スキル

HP回復上昇lv1 MP回復上昇lv7 格闘技lv8 無限収納インベントリ 状態異常無効化 攻撃無効化 獲得経験値10倍 鑑定 マップlv4 成長率増加 魔力操作lv10 魔力消費軽減 直感lv6 剣術lv8


称号

バルディアの加護

ゴブリンの天敵

王殺し






ん~、勇者なんて称号は無いな。ていうかミラたちは自分のステータスは見れるのかな?




「ミラ、変なこと聞いたら悪いんだけどミラって自分のステータス見れる?」


 見れますよと言いステータスを開き、少し躊躇ったが俺に見せてくる。どうやらステータスは見せようと思ったら他人に見せられるようだ。






名前:ミラ・アストル

種族:銀狼族

性別:女

年齢:15

Lv:7


HP:185/185

MP:311/311

力 :71

防御:84

速さ:92

器用:88


魔法

水魔法lv2


スキル

剣術lv1 HP回復率上昇lv3 MP回復率上昇lv2 状態異常耐性lv3 


称号








「ミラって銀狼族っていうんだね。かっこいいじゃん」


 え? とミラが不思議そうな声を上げる。なんだ、間違えたこと言ったかな。何を間違えたか考えていると、




「タクミさんは私が銀狼族だということに驚かないのですね」


 銀狼族について突っ込んでほしかったのか。




「あ~うん、俺銀狼族がどういう種族なのかも全然わからないしね」


 あはは、と笑いながらミラに答える。




「そういえばタクミさんは異世界の人でしたね」


 ミラがつぶやくと、銀狼族についていろいろ教えてくれた。




 銀狼族は数が少なく、奴隷価値がある事。魔力が高いから殺されて魔法の媒介にされたりと色々ひどいらしい。そのために銀狼族はいくつかの村に別れ隠れて暮らしているらしい。




 俺はなぜミラは奴隷になったか尋ねると、ミラは銀狼族の村の近くの森で狩りをしていた時に攫われたらしい。ミラの親はミラが10歳の時に亡くなったそうだ。




「奴隷になった時はつらくて苦しくて何度も死のうと思いました。でも、タクミさんに出会えたから私はとても幸せです」


 思わずギュウっと抱きしめてしまう。地球にいた時に学校で奴隷がどう扱われたのかを学んだが、その時はただどこか他人行儀な感じでしか見れず漠然とかわいそうだと思っていた。だが、ミラが同じようなことをされてたと思うと胸が苦しくて、発狂しそうになる。




「ミラ。ミラが辛い、苦しいって思った時よりも何倍も何十倍も幸せな思いをさせてやるからな」


 ミラと俺は互いを抱きしめながら泣いた。互いのぬくもりを感じながら。






 10分程でお互い落ち着いたので、自己紹介を終わりにする。お互いのことは今はこれくらい知れてればいいさ。これから長い付き合いになるんだもんね。




「そうだミラ、俺にこの世界の常識を教えてくれよ。正直まったくわからないんだよね」


 頭をかきながらミラにお願いする。




「ふふ、いいですよ。なんでも聞いてください」


 そのあとは俺が気になったことを聞き、それにミラが答えるという質疑応答形式で話しを進めて行った。なんとこの世界ではMPが多いと、長生きな傾向があるらしい。これは興味深かった。そんな感じで話していると、いつの間にか夕食の時間になった。




「ミラ、そろそろ夕食だ。下に降りよう」


 ミラとともに夕食を食べて。自室に戻りベッドに入る。ここ最近密度の濃い生活をしているからすぐ疲れてしまう。ミラとともに就寝する。明日からダンジョン攻略に向けて頑張るぞ~。

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