第8話 Sランクを目指す
鳥の鳴き声で目が覚める。地球にいた時に夢見た理想の起床の仕方だ。心を弾ませながら着替えをして朝食をとる。朝食をとっていると、ガディアが席に座ってくる。
「おう、タクミ、魔法の訓練はどうだったよ。お前さんなら水魔法以外もも使えてたりするんじゃないか?」
ガディアが笑いながら聞いてくる。よくわかったな。さすがガディア、略してさすディア。
「よくわかりましたね、ほらこんな感じです」
手の平から、水の球を作る、順番に火、土、風、光、闇の球を作り、自分の周りに浮かせる。やったことなかったけどなんとかなるもんだ。自分の成長に感動していると、ガディアがあごが外れるんじゃないかってくらい口を開けてる。ちょっと面白いな。
「タ、タクミは、6属性も使えるんだな......。外ではあんまり見せない方がいいかもな」
何故見せちゃいけないのかわからない顔をしていると。これも知らないのかよ......と呆れながら教えてくれた。
「いいか? 普通の人間に魔法は1属性使えるといい方なんだよ。魔法学園に通うような奴はたいていが2~3属性持ちだ。天才の魔導士でも4属性。5属性以上の持ち主は賢者なんて呼ばれたりするな。」
「ともかく、6属性も使えるタクミは十分に異常なのさ。もし6属性が使えるなんて大勢の人間に知れ渡れば、タクミを実験動物にしようとあちらこちらから刺客が来て大変な思いするぜ。お前だってそういうのあんまり好きじゃないだろ?」
魔法ってそんなに難しいのか。確かに見せびらかすのは控えた方がいいかもしれないな。
「そうですね、控えようと思います」
「そうしとけ、ちょっかい出されたくないなら早く地位を上げることだな」
そうか、ならまずは冒険者ギルドでSランクになるかな。
ガディアの忠告を聞き、急いで冒険者ギルドに向かう。急いでもあんまり変わらないんだけどね。
冒険者ギルドに着き中に入る。入ってすぐに昨日絡んできたハゲがこちらに向かってくる。
「おい、テメー昨日はよ――」
「あー! うっさいなあもう!」
こちらに向かってくるハゲの顔を思いっきり殴り飛ばす。ハゲはギルドの壁に突き刺さって動かなくなった。死なないように加減はしたから問題ない。
「急いでんだから邪魔すんな!」
焦りからか声が大きくなってしまった。心を落ち着けて昨日の受付の女性のとこに向かう。
「すみません。手っ取り早くランクを上げる方法って何かありませんか? なんでもいいんです」
驚きながらも一つの提案をしてくれた
「あ、それならCランクまでなら一気にランクアップできる方法ならございます」
Cか......Fから一つづつ上げるよりも格段に速いからいいか。方法について尋ねる。
「その方法とは何ですか?」
「そのお話をするにはこの書類にサインしていただく必要があります」
受付の人が1枚の用紙を出す。そこには、ランクアップの件で死んでも責任はとれないという契約書だった。まず、俺が死ぬことがないのでささっと名前を書く。
「はい、確かに受け取りました。では、こちらに来てください。」
席を立ち受付の人が受付から出てくる。俺を連れて2階に上がっていく。二階に上がり一番奥の部屋で泊まる。ドアには、ギルドマスター室と書いてある。
「ギルドマスター失礼します」
受付の人が入っていく。俺もそれについていく。
「どうしたのかな、リン君がここに来るなんて珍しい」
この人はリンさんというのか。覚えておこう。
「こちらの方がランクアップ試験を受けたいと仰ったので連れてきました」
「なるほど。君は本当にランクアップ試験を受けるのかい?」
40代くらいのがたいの良いギルドマスターと呼ばれる人が話しかけてきた。
「はい。早くSランクにならなきゃいけないんで」
そういうと、ギルマスの目つきが変わる。
「ほう、どうしてSランクにならなくてはいけないのかな?」
この人が俺の力をばらさない確証がないから言わない方がいいよね。
「言えません」
「何故だい?」
「あなたが信用できないからです」
あ、またやっちまった。ほら、ギルマスびっくりした顔してるよ。そりゃそうなるよね! いきなりランク上げろって言ってきたやつの理由聞いたら信用できないから言えないって。俺完全に不審人物やん!心の中で後悔してると。ギルマスが突然笑い出す。
「そっか、信用できないか、なら仕方ないか。」
なんかツボに入ったらしくしばらく笑ってた。1分ほど笑い続け、ようやくギルマスが話し始める。
「いや、すまない。冒険者なら秘密の一つや二つあるものさ。さて、ランクアップ試験の話だったね。君には王国の南部のソニアスタ大森林の魔物を5匹倒してもらう。厳しい試験だけどやるかい?」
まず、ダメージを受ける事がないから。問題なし。
「問題ないです。今から行きますか?」
「君が行けるなら今日行ってもらってもかまわないよ」
お許しが出たので早速向かう。南部の森と言ってたから、南門から出よう。門を出る前に串焼きを大量に買う。これで飢えることはないな。門を出て森の南部へ向けて歩き出す。さっさとSランクに上がって邪魔を入れられないように頑張るぞ!
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