第5話 宿屋の料理にハズレはない
「何拍泊まるんだ?」
2メートル近いゴリマッチョなおっちゃんが声をかける。先ほどの可愛い声は何だったんだよ......あの声は完全に美少女だろ!
マッチョの出現は美少女を想像してた俺の脳に多大なるダメージを与えた。数秒間放心状態でいた俺をしたのか、大丈夫か? と声をかけてくる。いかんいかん、いくらダメージがでかくても無視するのはよくないな。スマートにスマートに。
「あぁ、すみません。美少女だと思ったら、ゴリマッチョが来てショックを受けてただけです、ハハハ!」
やっちまった! そこは心に秘めておく言葉だろ!何やってんだよ俺は......。おっちゃんは何言ってんだこいつと言いながら変なものを見る目見てくる。
「あ~、ゴリマッチョで悪かったな。ティアが食堂の方に行ったんで、代わりに俺が来たんだよ」
なんだ、そゆことね。期待して損したよ。でもいいことを聞いたぞ! さっきの声の主はティアちゃんというのか。今度お話ししてみたいな。
「あ、す、すみません。つい思ってたことが口に出ちゃいまして......」
よく考えたらこれも言う必要ないじゃん! そういえば、地球にいた時も割と思ってる事口に出してたなあ。気を付けないと......。
「で、お前さんは宿泊すんのか? すんなら1泊銀貨1枚、朝夕食付きなら銀貨2枚だ、少し高いが味は保証するぞ」
なるほど、今所持しているお金が金貨10枚と銀貨10枚、銅貨10枚だから、何もしなくても500日は過ごせるのか。随分お金くれたなバルディアさん、。ここで一気に使うわけにもいかないし、初めはお試しで5日くらい泊まればいいかな?
「では、朝夕食付きで5日お願いします」
そう言いながら銀貨10枚を渡す。おっちゃんがお金を数え終えて鍵を渡す。そういえば。ギルドのおっさんやら宿のおっちゃんやら名前を全然覚えてないな。これを機に覚えてみるか!
「ほれ、部屋は201号室だ。夕食はまだ先だから部屋で待っててくれ。ティアに呼ばせるから」
なんと! ティアちゃんが呼びに来てくれるのか。楽しみだね!
「ありがとうございます。あと、お名前聞いてもよろしいですか? 俺の名前はタクミって言います」
「おう、タクミな。俺の名前はガディアだよろしくな」
おっちゃんもとい、ガディアと、握手する。ガディアはいいやつっぽいな。握手を終えた後、部屋に行ってみる。よく考えたら自分で宿を取るなんて初めてで感動するな!
ルンルン気分で階段をのぼり部屋に入る。入って左側にシングルベッドがあり、部屋の真ん中に丸テーブルとイス2つ。奥には窓、右側にはクローゼットがある。シンプルなのが好きな俺の理想部屋だね!
窓を開けて空を見る。時刻は18時を過ぎたところ。地球のように街灯とかがないから星がすごくきれいに見える。5分ほど星に見とれていたが。心が落ち着いたところで、自分の衣服が汗で気持ち悪くなってるのに気づいた。
無限収納インベントリから着替えを出し着替え始める。下着をおろしたときに、扉がノックされる。
「タクミさん、夕食の準備できましたよー!」
元気で明るい声が聞こえてくる。さっさと着替えて向かわなければ!
「はーい、今行きます!」
パパッと着替えてドアを開ける。するとそこに可愛らしい女の子がいた。クリーム色の髪を肩まで伸ばし、前髪は眉毛あたりで切りそろえられている。身長は150センチ歩かないかくらいだ。すごく可愛らしいな。
「こんばんは、タクミさん!」
ティアが挨拶してくる。うん、癒し。
「こんばんは、ティアさん」
「ティアでいいですよ」
「分かったよティア」
呼び捨てにすると、ティアがにこっと笑う。ま、まぶしい! 後光がさしているような笑顔だった。
階段を下り、食堂に入る。結構にぎわっているようだ。開いてる席に座り夕食を待つ。待っている間に明日やることを考えようかな。魔法、依頼、武器を買う......今のところ、こんなところかな。
考えがまとまったところに夕食が出てくる。大きなステーキに、レタスみたいなものとトマトみたいなののサラダ。お腹がすいてたからすぐに食べ始める。
「美味い!」
グルメリポーターじゃないから上手い言葉が出てこないが、かんだ瞬間に肉汁が出てくる。地球のステーキよりうまいんじゃないか? 手が止まらずに、5分ほどで食べ終わる。この肉は何の肉なんだろう? 地球のよりおいしかったよ。
お腹いっぱいになったことだし部屋に戻る。久しぶりに何時間も歩いたので、眠くなってしまった。明日は武器を買って、魔法の練習をしてみるかな? Fランクの依頼は外に出ることがないから明後日からでいいだろう。
大まかに明日やることを考えてているとあくびが出てきた。ベッドに入るとすぐに睡魔が襲う。ベッドもいい匂いがするし気持ちよく寝れそうだ......。
異世界生活1日目は無事に終えることができた。
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