第24話 孤立

 本来の今ごろ、私は豪華客船でのクルージングを楽しんでいたはずだ。だが数日前酷い嵐に遭った私は、命からがら無人島に流れついた。

 そして現在、私は島の中でただ一人の島民として過ごしている。

 海岸には流木などで形作ったSOSサインも設置したが、一向に救助隊の気配はない。航空機などに向けて狼煙も炊いたが、それでも救助は来ていない。

 どうしたものか。最低限の住居と食糧は島内で調達できている。目立った不調や病気にも感染していない。気候も穏やかで、暑すぎず寒すぎない。体格の大きな肉食獣の姿も、島を観察したが確認していない。

 社会から孤立したこの穏やかな島で、私はあとどの位過ごせるのか。正直、一生を島で過ごせる自信はある。今日も私は遭難者として、サインを作りに向かう。

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