第20話 ココナッツ

 「今日で四件目だぞ……」

 事故現場に来た警部補はため息をついた。近年国内で多発している連続暴行事件。そのほとんどに人の頭部ほどの物体が、高所から落とされたことによって殴打された痕がある。当初は殺人事件として扱っていたが、同時に複数箇所の発生、想定される高所が存在しない屋上での発生などから、現状は突発的な事故として扱っている。


「おじい、またココナッツが消えとぉ」

「昔からや。島の神様が村のココヤシの実を贔屓にしてくださっとる証拠や」

 二人がヤシを見つつ話す。その間にも、落ちた実がまた一つ、どこかへ消えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る