第15話 瓜二つ

 時は戦国。当時の東西にはそれぞれ、抜きんでた将軍が二人いた。

 東の相良さがら藩を統べる、相良慶丈よしたけ。西の主税ちから藩を治める、主税猶次なおつぐ。「東の相良、西の主税」とも称された両名は、天下統一に最も近い二名だった。

 その日、東を統一した相良藩と、同じく西の全土を治めた主税藩は、国土の中心を舞台とした「天下分け目の大戦」を勃発させ、等々とうとう両藩の大将以外は全滅した。

 お互い死の覚悟で戦場へ臨んだ大将両名は、初めて互いの顔を合わせ、そして驚愕した。相良と主税、お互いの容姿はまるで生き写しのようにだったのだ。

 二人は刃を重ねた。自分と同じ顔の相手を殴り、斬り、殺す。闘いは永遠のように続き、そして二人は、刀でお互いの急所を突き突かれ、同時に息絶えた。

——ドッペルゲンガーに会ったのなら、どちらか片方、若しくは両方が死ぬ——。

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