第13話 列
朝3時。私は長蛇の列に呑まれていた。私は昨夜11時頃、床につき深い眠りの態勢に入ったはずだった。しかし再び意識を覚醒したとき、そこに見えた景色は自室でも朝の日差しでもなく、この暗闇に存在する一列だったのだ。
私は列の構成員を観察する。前方も後方も果てが見えぬほど伸びた列は、大多数が私と同じ人間で形成されていた。殆どが日本人であり、老若男女多種多様な年代が私の前や後ろに並び一列を作っていた。後方の彼らは私と同様、覚醒時には列をなしていたらしく、それぞれの表情に十人十色の困惑が見て取れる。
前の人が数歩前へと歩みだした。私も前方を追うように微細な距離を進む。前方が動いたのなら、列の最前に動きがあったのだろう。この列は何に向かっているのだ、私達は何故列を組まされたのだ。人が列を作る行為に例は事欠かないが……。
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