第5話 電磁
地方活性化のため、とある町に来た。何でもそこは、スマホやパソコンの普及率がほぼゼロだという。現代においてそれは致命的だろう。
「こんにちは、話は伺っております。さぁ、狭いですけど」
地元民の挨拶と同時に現れた自動車に、私は目を疑った。浮いている。タイヤが無く、車は地面から五十センチほど浮いて走行しているのだ。
車内にいる時も不思議な現象は続いた。助手席にあったドリンクホルダーが、ひとりでに後部座席の私のもとへ運ばれた。車の速度も、乗用車では考えられない速さで駆動している。明らかに都心よりも発達した技術に私は混乱を隠せず、スマホで本部と連絡を取ろうとした。その時運転席にいる地元民が、私に向かって言った。
「お客さん、ここはそこら中に車用の磁石があってな、電子機器はみな狂うんよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます