第28話 ソナー

 俺は盗掘を生業としている。その日俺はアフリカの某遺跡にいた。所持する専用の金属探知機には、宝を示す赤いドットが一か所に密集し、巨大な雲のような形になっていた。

 人気がまばらになったのを確認して、俺は遺跡内部に侵入する。石造りの遺跡内部は寒く、観光用の僅かな照明しかない。俺はソナーに目を移す。宝を示す赤い塊は俺との距離を縮めていた。いや、

 赤い塊は生き物みたいに向かってくるのが、ソナー上で分かった。ヤバいと察知した俺は逃げようとしたが、石壁から目の前に現れた化け物に遮られてしまった。

そいつは全身が金銀財宝で出来ていた。化け物はルビーの両目で腰抜けた俺をギロリと見続け、やがて去っていった。ソナー上の赤い塊は、俺から離れていた。

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