第29話 プラチナ
ある朝から私は特殊能力を手に入れた。それは「触れた無機物をプラチナに変えることができる」能力だ。その名の通り小指の先っぽでも物に触れれば、一円玉だろうがスカイツリーだろうが、芯までプラチナに変えることができるのだ。
なんて素敵な能力! と思った人。それは違う。この能力は私の意思関係なく発動する。朝起きて無意識にスマホを触れば、それもプラチナに変わる。車も電車も触れるだけででかい塊に変わってしまう。公私共々不便極まりない。
なんて可哀想! と思った方、惜しい。恐らくは触れるもの全てが金に変わる王の逸話と照らし合わせての感想だろう。だが私の方は生物や食べ物は変わらない。また固体じゃないと発動しない。案外気楽な面もあることは私も助かっている。
という間にチャイムが鳴った。今日も私は質店にプラチナを買っていただく。
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