第27話 魚

 帰宅途中、快晴の空からポツリ、雨が一滴降ってきた。天気予報はまた外れたらしく、ものの数秒で土砂降りになってしまった。

 ずぶ濡れになりつつ駆け足で帰路を進んでいると、肩に何かがピシャリと引っ付いた。足を止めて何かを摘まむ。引っ付いた何かは、イワシだった。

「魚雨か」

 イワシを捨てると、先ほどより速足で帰ることにした。鞄で頭を覆っている間も、豪雨に交じって種々様々な魚が降り注いでくる。イワシ、サンマ、カツオ、タイ。マグロ、ウツボ、ウナギ、カサゴ。

 何とか激しさの増す前に帰宅した。濡れた衣服を乾かしている間、窓の外で降り注ぐ魚雨を眺める。イワシ、サメ、サヨリ、アジ。カジキ……カジキは痛そうだな。

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