第17話 太刀魚
真の暗殺者とは一切の武器を持たず、その場にある物を利用して標的を仕留めるという。あくまでも俗説だが、それが正しければ俺も真の暗殺者だろうか。
今回の依頼もそつなく終わった。三ツ星レストランの料理長だが、裏ルートで密輸した食材を提供したとして用済みなのだと、役人から依頼を請け負った。地位の高い人間は総じて寛容だ。私が喉頭を刺すその時まで、彼は俺を信頼していた。
料理長の遺体を処理し、役人への報告を済ます。あとは報酬をもらうだけ。
「あれ新人さん。休憩ですか?」
と、シェフがこちらへやってきた。誰にでも優しい彼は俺の手元を見る。
「太刀魚、でしたっけ? 魚は専門外ですから、新人さんに、任せますね……」
彼は俺の手元に握られている血塗られた冷凍ダツを見つつ言った。
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