第16話 オーディオ

 ゴミ屋敷の処理のため、朝から某町の一軒家に来ている。正直こんな仕事もう辞めたい。今俺がこんな仕事を請け負っているのは、バンドの活動資金のためだ。

 現場に到着したとき、俺は思わずヒュッと呼吸音を漏らしてしまった。想像したより現場はゴミで埋め尽くされていた。そして何より俺を驚嘆させたのは、そのゴミのほとんどが、スピーカーやアンプなどの音響機器ということだった。

「罰当たりが……」

 吐き捨てるように呟き、清掃作業に取り掛かる。まずは家内へ入るため、玄関先の機器をどかそうと持ったとき——俺は違和感に気が付いた。

 ケーブルが伸びている。ゴミなのに? 俺は周りに目を遣ると、他の機器も同じように伸びてる。その意味に気付いたとき、俺の鼓膜を爆音の暴力が引き裂いた。

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