第25話 源氏雲

 室町中期の描かれたある日本画。以前は知名度のない絵だったのだが、ある事件を機に一気にその名が広まった。その絵には、「予言」がなされていた。

 この日、特徴のない日本家屋に一人の女子大生が訪れた。女子大生が家屋へ挨拶をすると、居間から老婆がのそりとやってきた。

「こんにちは。予約した平野です」

 女子大生の名前を聞くと、老婆は黙して頷き女子大生を家内へ招きいれた。

 平野は老婆に案内されて、八畳間に案内される。室内は例の予言が示された日本画が一枚だけ飾られていた。平野はその絵の中、源氏雲の線を集中してみていた。

「私の家系、まだまだ続いてます。安心しました」

 平野が老婆へ言う。その絵の雲には、「平」の苗字の後胤を予言していた。

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