第19話 傘雲
これは遠い遠い昔、この地球の優しい雲の話。
まだ地球が産まれたてで、大地が脆かったころ。地球の表面には、ボツボツとした山があちらこちらにできていました。それは見栄えの悪いニキビのようで、地球は恥ずかしがっていました。あまりにも出来立ての地球がごつごつしているので、先に生まれた他の星たちはこぞって地球を馬鹿にしました。
そんな日がいく数百年も続いたので、とうとう地球は泣きだしてしまいました。
地球の涙は大地を流れる大河となり、やがて地球には海ができました。それでも地球は泣き続けるので、海は生みの親である地球を慰めようとしました。
海は空に水を送り、雲を創りました。空を埋めんばかりの雲は大地に突き出た山を、傘のように隠してあげました。そして、山と雲は親しくなったのです。
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