第4話 しらす雲
学会の帰り道に、巻雲が発生しているのを見た。確かに今日は過ごしやすい秋晴れだったので、巻雲が起こるのも納得できる。
空を見つつうろ覚えながら思い出す。幼少期に同じような巻雲を見た時、同学年の男子は雲のことを「しらす雲」と呼んでいたことを。当時はあの巻雲がどう見てもしらすには見えなかったのだが、今再び眺めてみても、やはりしらすには見えない。どうやら私はこういった投影術の類いがどうも苦手らしい。
夜へ変わりかけ、私は空腹感を覚える。折角なので近くの飲食店へ寄ることにした。最寄りの丼もの屋へ入り、メニューから気になった品を注文する。
数分後、提供されたのは期間限定のしらす丼。透明なシラスが白米の上にまるで「雲」のように……雲がしらすに見えなくても、シラスは雲に見えてしまうのか。
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