第3話 雨雲

 ピットは男の子です。彼はいつでも黄色の傘を持っていました。他の子は雨でも降らない限り傘なんて持たないので、いつもピットを不思議がっていました。

 ある日ピットがいつものように黄色い傘を持ってくると、ピットの同い年の男の子が、面白半分にピットの傘を壊してしまいました。周りはピットがどう反応するのか興味本位で見ていましたが、ピットは表情一つ変えませんでした。

 翌日ピットは赤い傘を持ってきました。しかしその赤い傘も他の子に壊されてしまいました。するとピットの顔がみるみる青ざめ、とうとう気絶してしまいました。

 それからです。突如空を漆黒の雨雲が覆いつくしたかと思うと、爆発のような音を立てて豪雨が降ってきました。雨は永遠に止むことなく降り続け、遂に大地の全ては水底に沈んでしまいました。

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