第5話 畝雲

 人類はかつて飢えていた。水に、食料に、味覚に。食糧危機の時代が到来し、国籍問わず多くの人間が飢餓の苦しみで朽ちていった。

 このままでは種は絶滅する。追い詰められた人類はそのとき、進化した。生命がこの地上で暮らす上で絶えず目撃するもの。人が人である以前から存在していたもの、尽きること無く生み出される“それ”の新たな利用法に——。

『〈コノ星ノ生命体ニ於ケル幾ツカノ生態ニツイテ〉

 ・コノ星ノ生命体(現地デハ「ヒト」ト呼バレル)ハ非常ニ高度ナ知能ト、比較的低級ニ当タル動物的知能ノ二ツヲ持ッテオリ、生命トシテハ第二発達段階ノ途中ト推察サレル。特筆スベキ点ハ、ヒトハ星ノ活動デ発生スル雲ヲ養殖シ、ソシテ雲ヲ捕食シテイル。食物ノ一極化ヲ行ッテイル点デ、ヒトハ優レタ知能ヲ有シテイヨウ』

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