第12話 アルコール

 自宅で友人と夜酒をたしなんでいる。私は三杯目の缶ビールを開けつつ肴を食べている。友人は酒豪なので、ウォッカをグラスにそのまま注いでいる。

「なぁ、酒で思いだしたんだけどよ。ロシア人は酒が飲めなくなると、エタノールをそのまま飲むらしいぜ? やばいよな、見分けつかなくなるまで飲むって」

 にやけ顔で偏見ジョークを飛ばす友人に、私は微笑で返す。

「あっ、瓶空っぽになっちまった……買ってくるわ」

 友人は足早に家を出て、数分後にはコンビニの袋を提げて戻ってきた。

「いやー見ろよこれ! めっちゃ茶色いウォッカだぜ! 多分めっちゃ強い奴だよこれ。ははぁどれどれ、それじゃぁ…………ん、なんだこれ!? 甘っ!!!」

 友人はグラスに並々注いだ蜂蜜を飲むと、意表をつかれたように驚いた。

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