第11話 去る

 ここ何軒かの町は、最近山から下りてきた猿による被害を得ていた。個人栽培している野菜や畑から餌を奪っていた猿も、最近では良質な餌を求めて民家や民間人を襲撃するようになった。

 猿被害に困った住民たちは、ある男へ猿の駆除を依頼した。

 某日、以来された男がやってきた。見た目は猟師というわけでもなく、無精髭を生やし白衣を着た男である。町の至るところで猿がのさばっているのを男は珍しげに眺める。男は大掛かりな準備をする様子もなく、懐から手のひら大のリモコンを取り出すと、天へ向けて二三度操作した。

 すると空がみるみる黒雲に覆われてゆき、遂には曇天模様になった。空から豪雨が町に降ると、猿たちは慌てて帰っていく。住民たちも慌てて避難する。

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