第3話 プール

 学校の屋外プールは、夏休みにならないと開くことはできない。プールはその期間が始まるまで、入口は施錠されている。

 でも、プールの近くには一か所だけ人の目を盗んでプールサイドに侵入できる場所がある。

 ある六月、日差しが苛酷すぎるほど降り注いでいたあの日。俺はその見られない一か所からプールに忍び込んだことがある。

 プールに水は溜まっていなかった。俺は至極がっかりしたので、バレないように帰った。

 翌日、先生が朝のホームルームで、プールに侵入者が出たためプール開きを今期は廃止すると言った。ブーイングが起こるクラスを、俺は冷や汗を掻きつつ眺めた。

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