第2話 ハイヒール

 私はハイヒールが好き。女の子なら大体の子は好きだと思うけれど、私は特にハイヒールに凝っている。家のシューズラックに収まりきらないから、部屋一室を丸ごとハイヒール専用置場にしているけれど、それも最近は溢れそう。それほど好き。

 私がハイヒールを好む理由は色々あるけれど、一番の理由は「しゃんとする」から。常につま先立ちだと、舞台上に立ったときのように、日常が引き締まる。出かけるときには、いつでもどこでも気高い私でいたいから。

 今日は厚底のハイヒールを履いて出かける。ほら、通り過ぎていく人の目が私に注目しては去る。高級な物を身に付ければ、自然と自分も美しくなるものよ。

 あら? さっきすれ違った男性がこちらに来た。まったく。私って、罪な女ね。

「あの、お姉さん……なんで、下駄を履いてるんですか……?」

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