第12話 爆発

 あぁ何たることだ! またこの季節が来てしまった! この二ヶ月、私は世界の中でただ一人、孤独を身に染みて覚えさせられる! 

 私は今朝から自室に籠っている。食事と排泄以外は部屋を出ないようにする。扇風機やクーラーを稼働させ、一切の外出意欲を起こさぬように気を配る。

 現代は余暇を潰す手段が豊富なのがありがたい。ネットサーフィンや動画閲覧、電子書籍などで何でもない時間を過ごす。ここまでは例年通りだ。

 そして、とうとう日が傾き始める。空が茜色に染め上げられ、陽光が横たわる。

 恐ろしい時間が始まる。私は差し込む光を遮るようにカーテンを引き、イヤホンを耳の奥まで詰める。そして、大音量で音楽を聴き始めた——だが。

 夜の訪れと共に、爆発が起こり衝撃が心臓を揺らす。来てしまった、花火だ。

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