第4話 半分ずつ
「なぁビロード。今日の気温は何度だ」 男は手に持った携帯端末に話しかける。
端末から抑揚のない女性の声が話す。『サー、本日の気温は76.2度。快晴です』
「確か昨日の天気は最高10度だったが」 呆れた声色で男がもう一度質問する。
端末の音声は疑問を持たず返答する。『サー、北国の風が流れてきた影響です』
「ビロード。近い充電地を教えてくれ」 砂漠の中心に男達は立ち尽くしていた。
端末は砂混じりの熱風を受けていた。『現地より最寄りの充電地は北に19キロ』
「あーもういい。聞く必要がなかった」 男は太陽の下、左腕の裾をまくった。
端末のランプが赤く点滅し始める。 『ダー、当機の充電を開始してください』
「分かってるよ。バッテリーは共有だ」 男は左腕からコードを引き端末に繋ぐ。
「なんでこいつと50%ずつかなぁ」 『バッテリー共有は緊急措置ですので』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます