第27話 犯人のメモ

 走り書きされたメモには、短くこんな文が書いてある。

『お前の罪を、忘れるな』

 このメモを見た瞬間、探偵の脳裏にはある記憶が浮かび上がった。探偵は助手に自分の部屋に来るよう呼びつけた。

   ―   ―   ―   ―   ―

 「助手くん。僕は、このメモを見たとき、今回の事件の犯人が分かったよ」

 助手が息を呑む。いつもの推理が始まるのだ。しかし探偵はメモを見せ、

「今回の事件、犯人は……僕だ。殺人のあと、懺悔としてこのメモ書きを残した。そして都合よく記憶を失い、今日まで真実を追究してきたんだ……すまない」

 助手は数多の感情に翻弄され、結局、嘆息を一つ漏らすことしか出来なかった。

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