第23話 石にかじりついても

 今日は私が旅をしていた時の(パクッ)、不思議な体験を一つ(モグモグ)。

 その日、私は朝から食事にありつけなくてほとほと困っていました。正午時、私はある集落に着きました。村人は私を見るなり慌てて駆けつけてくれて、「何か食べたいものはないか」のような旨のことを言ってくれたので、

「何でもいいです。食べれるなら、草でも石でも食べます」

と言いました。その後村人は横たわる私に一杯の水と、数個の黒い小石を用意したんです。確かに石でも食べるとは言ったけど、本当に出されるとは、と不快になりました。でも行為を無下には出来ないと思い、その黒い小石を実食しました――。

 いやぁ、世の中色んな食べ物があれど、まさか石を食べるとは思いませんでしたね。でも、あの石はとっても美味しかった。ほら、今も私の口の中にゴロゴロと。

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